東京新聞WEB刑務所の風景から社会を見据える 浜井浩一さん (元刑務所職員・犯罪学者)「治安悪化を主張する人たちは統計学や疫学をきちんと勉強しているだろうか。僕はそれを“信仰”と呼んでいます。治安が悪いと信じ込んで徹底的な監視社会をつくり、競争から落ちこぼれた人たちを不審者として排除する。そして刑務所が受刑者であふれ返る。日本はそんな格差社会を選んでいるんです」(略)「まともに作業できる受刑者はほとんどいません。みな老人か、障害者か、病気持ちで…」 あらためて見回すと、あふれるほどの受刑者は、ほとんどが何らかのハンディキャップを抱えていた。加齢や生活習慣病、視力低下や難聴、精神障害による幻聴、外国人であるがゆえの言葉の障害。軽度の知的障害によって働けず、ホームレスとなったうえ生活に困窮した初老の受刑者は、ひもじさから再犯を重ねていた。刑務所は「治安の最後の砦(とりで)」ではなく、「福祉の最