ノーベル平和賞の授賞式に出席する国には報復も辞さない−。中国の民主活動家、劉暁波氏の平和賞受賞をめぐる中国の恫喝外交は国際社会のひんしゅくを買った。しかし、中国の前庭ともいうべき東南アジアでは踏み絵の効果は絶大だった。主要国の大使は軒並み授賞式を欠席、中国の威勢を見せ付けた。 「ノーベル平和賞は平和と友愛を促進する意思の表明だ。それにふさわしい組織や人物に与えられるべきであり、政治目的に利用すべきでない」 ベトナムは授賞式欠席の理由を問われて、外務省報道官のこんな談話を発表した。 ベトナムは中国が最後に戦争をした相手(1979年)であり、南シナ海のスプラトリー(中国名、南沙)やパラセル(西沙)両諸島の領有をめぐって今も中国と鋭く対立している。しかし、その一方で、共産党による一党支配という点では同志的関係にあり、民主化や人権問題では中国に同調せざるを得ない。 マハラック駐越米大使は今月9日に