先人が後進を導き、支援し、時に叱咤激励する ITバブルと呼ばれていた2000年代の前半、筆者がIT系のベンチャー企業で役員をしていた時のことだ。 当時はまだガラケーが、ビジネスツールとしてやっと行き渡った時代。 インターネット回線はビジネスユースでもISDNが一般的で、家庭ではアナログ回線のダイヤルアップでメールやWebサイトを閲覧していた。 23時から翌朝8時まで定額でアナログ回線を使える「テレホーダイ」といえば、40代以上の世代には懐かしい思い出だろう。 そんな時代に同社では、インターネット回線を経由して動画や音楽を楽しめる野心的なサービスを仕掛けようとしていた。 ハッキリ言って無茶にもほどがある。 当時のインターネット回線で動画を流すというのは、言ってみれば風呂いっぱいの水を細い一本のストローで吸い上げるようなものだ。 仮にやろうと思っても何時間かかるか想像もつかない上に、そもそも回