【ワシントン=勝田敏彦】米国のバイオベンチャー、ジェロン(本社・カリフォルニア州)が今夏、さまざまな組織の細胞になるヒト胚(はい)性幹(ES)細胞を使って脊髄(せきずい)損傷の患者の治療を行う臨床試験(治験)を行うことがわかった。AP通信が22日報じた。実施されれば、世界初のES細胞の医療応用になるとみられる。 報道によると、対象は脊髄に損傷を受けて歩けなくなった患者8〜10人。脳や脊髄の神経細胞を保護する役目を持つ細胞をヒトES細胞から育てて、損傷部分に注入する。今回は安全性の確認が目的だが、歩行能力や感覚が戻るかどうかも調べる予定だ。 ネズミを使った同様の実験を続けてきたジェロンは昨年、米食品医薬品局(FDA)に実際の患者に応用する治験実施を申請。FDAは実施の留保を同社に指示していたが、報道によるとFDAは今週、申請を認可した。 交通事故などで起きる脊髄損傷は、糖尿病やパーキン