12月9 56年目の革命・触媒的Wittig反応 世界史の年表を見ていると、何でこの年には歴史的事件が一気に起こるのだろうと思うような、「歴史の当たり年」というものが存在するようです。最近でいえば、ソ連崩壊・湾岸戦争・冷戦終結・バブル崩壊が一挙に起きた、1991年などがそれに当たるでしょうか。 科学の世界でいえば、1953年がその「当たり年」かもしれません。何といっても有名なのはワトソン・クリックによるDNAの構造解明ですが、他にもツィーグラー・ナッタ触媒の発見、メーザーの発見、水爆の開発、ヘモグロビンのX線結晶構造解析、ユーリー=ミラーの実験などがこの年に集中しています。 そして有機化学の世界では、有名なWittig反応がこの年に産声を上げています。リンのイリドとカルボニル化合物との反応によって炭素-炭素二重結合を形成するこの反応は、その後ビタミンAなど多くの化合物の合成に用いられること