網膜は、桿細胞と錐体細胞で光を感受、そのシグナルをまず網膜内で統合した後、そのシグナルを総局細胞を経て神経節細胞に伝達するよう配置された、美しい構造を持っている。このスキームでは、光はあくまで桿細胞と錐体細胞で感受することになるが、実際には神経節細胞も光を感じる能力がある。 以前光感受性色素を静脈に注射するだけで、桿細胞と錐体細胞の失われた網膜に光感受性を取り戻せることを示した論文を紹介したが、(https://aasj.jp/news/watch/5866)、これは神経節細胞の中に光感受性色素が浸透して、P2Xと呼ばれる受容体を介して光シグナルを興奮に変えることができる。 ただ、わざわざこのような色素を導入しなくとも、神経節細胞の中にはメラノプシンを使って光を感じる細胞があることがわかっている。今日紹介するソーク研究所からの論文はこの機能がヒトの網膜神経節細胞にも残っていることを示した論