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ブックマーク / aasj.jp (250)

  • 2月24日 ヘビの進化 (2月23日号 Science 掲載論文他2編) | AASJホームページ

    Science系の雑誌にヘビについての論文が3編も同じ週に掲載されていたので紹介することにする。ただ、論文が多いので紹介は簡単に済ませる。 最初はニューヨークのStony Brook大学からの論文で、ヘビの進化スピードをトカゲと比べた研究。2月23日号 Science に掲載された。タイトルは「The macroevolutionary singularity of snakes(ヘビのマクロ進化の特異点)」だ。 ヘビは頭の形、長さ、脊椎の数、四肢の欠損といった形態だけでなく、蛇毒や感覚分子などでみると、同族のトカゲと比べて進化速度が早く感じられる。実際、トカゲでも四肢を欠損するケースがあるが、そこからヘビのような多様化が起こることはない。これを調べるため、ヘビで見られる形態を中心にした新しい変化の出現を一つの指標に統一し、ゲノム進化のマップにオーバーラップさせたのがこの研究だ。 結果は、

  • 12月12日 染色体ごとの遺伝子発現調節(12月7日号 Nature 掲載論文) | AASJホームページ

    X染色体はオスでは1、メスでは2存在する。そのまま遺伝子発現が起こるとX染色体上の遺伝子の発現量はオスとメスで2倍の差が出るので、これを調節する必要がある。哺乳動物の場合、X染色体不活化と呼ばれる方法で、片方のX染色体からの遺伝子発現を完全に閉じることで遺伝子発現量をオスメスでそろえるのだが、ショウジョウバエではX染色体不活化は起こらない。代わりに、オスのX染色体遺伝子発現量を高めるメカニズムがあり、これに関わるのがMSL遺伝子だ。MSLとは male specific lethal の略で、この遺伝子が欠損するとオスのX染色体上遺伝子発現を倍加できないので、オスだけが死んでしまうのでこの名前がついている。MSLの機能は詳しく解析されており、MSL1、MSL2、MSL3、MOFからなる複合体により、特異的なヒストンアセチル化により遺伝子発現を高めることがわかっている。 以上の予備知識が

  • 4月29日 慢性腎臓病研究の最近の進歩(3月9日 NatureCollection 掲載記事) | AASJホームページ

    Nature Collectionというサイトがあり、特集として選んだ様々なテーマについてエディターやライターの記事が集められている。いつも目を通しているわけではないのだが、たまたまウェッブサイトを見ていたら、3月のNature Collectionとして慢性腎臓病(CKD)が特集されており、掲載された10編の総説の中に、最近注目すべきCKD研究がまとめてあったので紹介することにした。タイトルは「Chronic Kidney Disease:Highlights from research(慢性腎臓病:研究のハイライト)」で、サイエンスライターのMichael Eisensteinが担当してまとめている。 ただ、この記事に行く前にAmanda Keenerにより書かれた「The surprise blockbuster(ブロックバスターの驚き)」について少しだけ紹介しておこう。この記事では

  • 10月5日 今年のノーベル賞から、炎症性の痛み(例えばワクチン副反応)になぜ女性は敏感なのかを考える(9月1日号 Neuron 掲載論文) | AASJホームページ

    AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ > 10月5日 今年のノーベル賞から、炎症性の痛み(例えばワクチン副反応)になぜ女性は敏感なのかを考える(9月1日号 Neuron 掲載論文) 今年のノーベル医学生理学賞は、TRPVやPiezo分子ファミリーの発見と痛み受容のメカニズムを解明したJuliusとPatapoutianに授与された(この研究の広がりについてはYoutubeで解説予定)。 今年のラスカー賞が人工RNAワクチンによるCovid-19の予防を理由に、KaricoとWeissmanに授与されたことから、ノーベル賞もという予想が多かったが、他のモダリティーのワクチンもほぼ同時に開発され一定の効果を発揮していること、またより長期の効果についての評価が必要なことから考えると、今年医学生理学賞には選ばないというのはノーベル賞ならの矜持であるように思える。しかし、mRNA技術

  • 4月7日 理想の母乳を求めて (3月31日 Science Translational Medicine 掲載論文) | AASJホームページ

    AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ > 4月7日 理想の母乳を求めて (3月31日 Science Translational Medicine 掲載論文) 体も精神も、発達期に決まっていくことは多くの研究から明らかになっている。中でも注目されているのは腸内細菌叢の役割で、細菌叢の発達の異常は、成長後の代謝疾患やアレルギーの原因となることがわかってきて、「腸内細菌を育てて将来の健康を実現する」は、多くの国が国を挙げて取り組むモットーになっている。 腸内細菌叢の発達とアレルギーについては先月YouTubeで取り上げたので是非ご覧いただきたいが(https://www.youtube.com/watch?v=Ht9FD38lS74&t=386s)、出生直後の細菌叢の発達は、出産の様式(経膣分娩か帝王出産かなど)と、母乳により決まると言っていい。従って、細菌叢を育てる理想の母乳

  • 2月10日 エピジェネティックス超大御所が見るCovid-19:プラトン対話編(Review前のbioRxivプレプリント) | AASJホームページ

    AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ > 2月10日 エピジェネティックス超大御所が見るCovid-19:プラトン対話編(Review前のbioRxivプレプリント) なるべく査読を通る前の論文は紹介しないことを心がけているが、今日は別だ。新型コロナウイルス禍の中でも、独自の研究成果を着々と発表しているエピジェネティックスの2人の大御所、Rudolf JaenischとRichard Youngが、なんとCovid-19にも一言とばかりに論文をまとめたのだ。今は査読前だが、これまでの実績からデータは信頼できるし、それ以上に2人の意思を拒否できるレフリーもそうはいまい。結局ほとんど変更なしにどこかに掲載されること間違い無い。 しかし「わざわざ、covid-19にお出まして頂かなくともいいのに」、と論文を読んでみると、大御所たちと若者の会話の中でふっと湧き上がった疑問を、ちょっ

  • 6月21日 ワクチンはT細胞反応誘導効果の検証が重要(6月17日 Science Translational Medicine 掲載論文) | AASJホームページ

    AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ > 6月21日 ワクチンはT細胞反応誘導効果の検証が重要(6月17日 Science Translational Medicine 掲載論文) 今、我が国では、新型コロナについておかしな逆転現象が起きている。前にも批判したが、外出自粛や新しい生活様式といった来なら政治家や経済学者が研究者のアドバイスをもとに語る内容を、医師や科学者が語り、ワクチンや治療薬についての見通しを首相や知事といった政治家が語っている。 一方ワクチンについては科学者内でも、期待できるとかできないとか議論がSNSで白熱している様だが、科学者として丁寧な説明にはあまりお目にかかったことがない。丁寧な説明ができるかは、開発したワクチンの免疫学的特性をどこまで正確に検証できるかにかかっている。逆に丁寧な説明がないと、とりあえず抗体ができるから、感染機会の多い医療従事者に

  • 6月12日 新しい新型コロナウイルスの細胞内侵入経路(6月9日 BioRxiv 発表論文) | AASJホームページ

    これまで新型コロナウイルスの細胞内侵入経路については、スパイクタンパク質のS1部分に結合するACE2と、S2タンパク質を切断して、膜融合に関わるペプチドを遊離させるTMPRSS2を中心に研究が行われてきた。ただ、SARSと新型コロナのスパイクタンパク質の比較から、新型コロナウイルスにはホストに存在するもう一つのタンパク分解酵素Furinによる切断サイトがあり、しかもFurin切断部位の変異が高率に起こることが知られていた。Furinによる切断サイトは多くのウイルスにも存在し、Furinを阻害すると新型コロナの感染効率が落ちることが知られていたため、Furinにより切断後に残るS2タンパク質とホスト側の分子がウイルス侵入に関わるのではと予想されていた。 今日紹介したいのは、1編はブリストル大学から、もう一編はミュンヘン工科大学からの論文だが、いずれもFurin切断サイトよって生まれるS2領域

  • 近代哲学に取り掛かる前に、今話題のマルクス・ガブリエルを読んでみた(生命科学の目で読む哲学書 第13回) | AASJホームページ

    AASJホームページ > 新着情報 > 生命科学の目で読む哲学書 > 近代哲学に取り掛かる前に、今話題のマルクス・ガブリエルを読んでみた(生命科学の目で読む哲学書 第13回) これまで12回、ギリシャ、ローマ、中世と哲学書を読んできた。大学時代から今まで、古典的な哲学書も比較的読んできた方だと思うが、系統だって読むことはなかった。時代を追って哲学書を読むという体験は今回が初めてだ。哲学を教えているわけでもないのに、ちょっと馬鹿げているとは思ったが、「この機会を逃せばもう気力は失せるだろう」と読み始めて、そろそろ一年になろうとしている。こんなことでもなければローマ時代や中世哲学書など手に取ることはまずなかったと思う。「しんどいか?」と問われれば、確かに「しんどい」し、何より他のことを犠牲にしてを読む必要がある。すなわち、論文を読むときと同じで読書が義務になる。しかし、しんどいだけではない。

  • 4月8日 抗寄生虫薬イベルメクチンが新型コロナウイルスに効果がある理由( Antiviral Research オンライン掲載論文) | AASJホームページ

    AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ > 4月8日 抗寄生虫薬イベルメクチンが新型コロナウイルスに効果がある理由( Antiviral Research オンライン掲載論文) オーストラリア・モナーシュ大学から発表された我が国の大村さんが開発した抗寄生虫薬イベルメクチンが、試験管内の実験系ではあるが新型コロナウイルスの細胞内での増殖を止めるという論文がメディアを騒がせている。イベルメクチンは寄生虫のクロライドチャンネル阻害剤として働いて、寄生虫を麻痺させると思っていたので、この意外な組み合わせに驚いた。 なぜイベルメクチンで新型コロナウイルスが抑制できるのか知りたくて早速この論文を読んで、そのメカニズムの可能性を学ぶとともに、面白い引用文献も見つけたので今日はこれを紹介する。タイトルは「The FDA-approved Drug Ivermectin inhibits th

  • 3月26日 BCGはなぜウイルス感染予防効果があるのか(2018年1月号 Cell Host & Microbe 掲載論文) | AASJホームページ

    AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ > 3月26日 BCGはなぜウイルス感染予防効果があるのか(2018年1月号 Cell Host & Microbe 掲載論文) 前回新型コロナウイルスの感染動態についてのThe Lancet論文を紹介した時(https://aasj.jp/news/watch/12611)読者からBCGワクチンが新型コロナウイルス感染予防に効果がないか確かめる治験が進んでいるという情報が送られてきた。調べてみると、3月23日Scienceはオランダナイメーヘン大学のグループが中心になってオランダではBCG接種が進行中であることをレポートしていた(https://www.sciencemag.org/news/2020/03/can-century-old-tb-vaccine-steel-immune-system-against-new-coron

  • 2月20日 40Hzで明滅する光によるサイトカイン誘導(2月5日号 Journal of Neuroscience 掲載論文) | AASJホームページ

    AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ > 2月20日 40Hzで明滅する光によるサイトカイン誘導(2月5日号 Journal of Neuroscience 掲載論文) 昨年の3月、40Hzの光と音で同時に刺激すると、脳内のミクログリアが活性化され、アミロイドプラークを除去する結果、アルツハイマーモデルで記憶が改善するという驚くべき論文を紹介した(https://aasj.jp/news/watch/9864)。更に驚いたのは、米国でこの40Hzの音と光を出すデバイスを販売している会社があるという事実だ(https://gammalighttherapy.com/)。米国の活力の源を見る感じがする。とはいえ実際には、光や音と脳波が同期してγ波が海馬で発生する結果だと解説したが、ではなぜγ波がミクログリアを活性するかはわかっていない。 今日紹介するアトランタ・エモリー大学から

  • 2月19日 一般的な抗老化サプリで卵子の質が上昇する(2月18日号 Cell Reports 掲載論文) | AASJホームページ

    数多くのサプリメントがアンチエージングをうたっているが、当に健康寿命を伸ばせるのか調べようと思うと、かなり長期の科学的治験が必要になる。例えば、ワシントン大学今井さんの研究で有名なサーチュイン2を活性化するNADの前駆体NMNにしてもようやく治験が始まったばかりで、当に副作用なく何十年も飲み続けられるのか?少なくとも私にとってわかった時にはもう手遅れだろう。 ただ、抗老化サプリによっては、その効果をもっと早く知る方法もある。例えば肺線維症や腎硬化症はメカニズムが老化とオーバラップする場合も多く、これに治療効果がある場合、老化にも効く可能性がある。この方向の研究として、非特異的キナーゼ阻害剤と、抗酸化サプリを併用して、死にかけの細胞を積極的に殺すsenolysis治療があるが、肺線維症や腎硬化症で効果をあげており、実際の老化にも効果があるのではと期待され始めている。 今日紹介するオースト

  • 12月10日 光を感じる第3の細胞(12月6日Science掲載論文) | AASJホームページ

    網膜は、桿細胞と錐体細胞で光を感受、そのシグナルをまず網膜内で統合した後、そのシグナルを総局細胞を経て神経節細胞に伝達するよう配置された、美しい構造を持っている。このスキームでは、光はあくまで桿細胞と錐体細胞で感受することになるが、実際には神経節細胞も光を感じる能力がある。 以前光感受性色素を静脈に注射するだけで、桿細胞と錐体細胞の失われた網膜に光感受性を取り戻せることを示した論文を紹介したが、(https://aasj.jp/news/watch/5866)、これは神経節細胞の中に光感受性色素が浸透して、P2Xと呼ばれる受容体を介して光シグナルを興奮に変えることができる。 ただ、わざわざこのような色素を導入しなくとも、神経節細胞の中にはメラノプシンを使って光を感じる細胞があることがわかっている。今日紹介するソーク研究所からの論文はこの機能がヒトの網膜神経節細胞にも残っていることを示した論

  • 中世哲学を学ぶ(生命科学の目で読む哲学書 第9回) | AASJホームページ

    図1 中世哲学のガイドブックとして読んでみた著作。 アリストテレスを読もうと、ネットでどんなが手に入るか探していた時、岩波書店から刊行された、アリストテレス全集全17巻(当時で一冊数千円していた)が、全巻セットでなんと1万2千円足らずと知って、それまで重要な著作は購入していたにもかかわらず思わず全巻を注文した。ほとんど傷もついていないばかりか、折り込み冊子もすべて揃った全巻を受け取って中身を確かめているうち、「得した」と言う最初の喜びが、「アリストテレス全集など図書館も含めて買い揃えようとする人などいないのか?」という悲しみに変わった。 「哲学と宗教全史」などといった大層な題のがベストセラーになるのに、そこで紹介されているはずの哲学書を読んでみようなどと考えるのは、少数派のまた少数派であることを「1万2千円のアリストテレス全集」から実感した。私自身は「生命科学の目で読む哲学書」を書くこ

  • 9月9日 寝ないで済む突然変異(9月25日号 Neuron 掲載論文) | AASJホームページ

    昼間でも眠たくなる私には想像できないのだが、若い時からあまり寝なくとも何の問題もないという人たちがいるようで、しかもその一部は明らかに遺伝性があることがわかっているらしい。今日紹介するカリフォルニア大学サンフランスシスコ校のグループは、これまでも短い睡眠でも普通に生活できている(と言うより長い時間寝られない)家族の遺伝子を研究しており、これまでに概日周期に関わるDEC2遺伝子を特定していた。 今日紹介する論文は同じように睡眠の短い家族を解析して、β1アドレナリン受容体の突然変異が短い睡眠しかできないと言う形質を引き起こすことを示した論文で9月25日号のNeuronに掲載されている。タイトルは「A Rare Mutation of β1 -Adrenergic Receptor Affects Sleep/Wake Behaviors (β1アドレナリン受容体の稀な突然変異が睡眠と覚醒の行動

  • アリストテレス 形而上学 :プラトンからの決別と4因説(生命科学の根本問題) (生命科学の目で読む哲学書 第7回) | AASJホームページ

    AASJホームページ > 新着情報 > 生命科学の目で読む哲学書 > アリストテレス 形而上学 :プラトンからの決別と4因説(生命科学の根問題) (生命科学の目で読む哲学書 第7回) アリストテレスの最後は「形而上学」(岩波書店 出隆訳)を選んだ。この著作はひとつのまとまった著作ではなく、また「形而上学とは何か?」などが議論されているではない。岩波版の訳者、出隆の解説によると、実際のタイトル「τὰ  μετὰ  τὰ  φυσικά」の意味は、「自然学の次に来る(メタ フィジカ)という意味で、前回まで紹介したように、自然に魅せられ観察と思索に没頭したアリストテレスが、その経験をもとにさらに実体が存在し動いている世界の原理について整理を試みた14の独立したエッセーだと考えればいい。まとまった思想が語られるわけではないので、よほどアリストテレスの興味がある人はともかく、自然科学者に是非読む

  • アリストテレス「霊魂論」:本当は「生命とは何か」(生命科学の目で読む哲学書 6回) | AASJホームページ

    今日紹介したいのは、アリストテレスの「霊魂論」(「心とは何か」)で、前回紹介した動物論諸作に先がけて書かれた著作で、現代の生命科学者でもそれほど抵抗なく読める面白い作品だ。 図1 アリストテレスの「Peri Psyches」は、岩波書店版では「霊魂論」、講談社版は「心とは何か」と訳されている。生命科学者から見るとどちらもタイトルとして適切でないと思うが、訳としては圧倒的に講談社版が読みやすく、生命科学の若い研究者や学生でもスムースに入っていける。 しかしこのを読み通してまず浮かぶ疑問は、なぜこのを「霊魂論」と訳したのかという点だ。冒頭の写真には、山光雄訳の岩波版と、講談社桑子俊雄訳「心とは何か」を示したが、他にも京大出版会 中畑正志訳「魂について」の3冊の翻訳がある。それぞれプシューケースを「霊魂」「心」「魂」と訳しており、私たちがこれらの訳から受ける印象は、「心と体」という時の「心

  • 8月5日 蛇の牙に習う注射針(7月31日号 Science Translational Medicine 掲載論文) | AASJホームページ

    AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ > 8月5日 蛇の牙に習う注射針(7月31日号 Science Translational Medicine 掲載論文) コラーゲンやヒアルロン酸を飲んだり、塗ったりすることをうたう製品が多い中で、最近では資生堂の様にマイクロニードルに塗りつけて、表皮を突き破ってヒアルロン酸を皮下に注入する方法が開発されている。もしこの様な方法が消費者に支持されるなら、消費者も言葉だけでなく、科学的合理性を選択していることを意味し、他の会社も見習うのではと思う。 ただ、マイクロニードルの問題は液体を注入できない点だ。したがって、針表面に薬剤をコートする必要があり、注入できる量も限られている。これに対し今日紹介する韓国スンシル大学からの論文は、蛇の歯を模倣した針を設計することで、圧力なしに液体を皮下に投与する方法を報告し7月31日号のScience Tr

  • 7月16日 殺人:最後の一線を越える脳科学(7月5日 Brain Imaging and Behaviour オンライン掲載論文) | AASJホームページ

    AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ > 7月16日 殺人:最後の一線を越える脳科学(7月5日 Brain Imaging and Behaviour オンライン掲載論文) 犯罪は生まれか育ちかという議論は何度も行われてきた。凶悪犯罪の遺伝率は38%というこれまでの報告があり、様々な精神疾患と同じくかなり高い。ゲノム解析が始まってからは、犯罪者と相関する遺伝子が探索され、monoamin-oxidaseをはじめとする遺伝子の多型が報告されている。また犯罪者の脳構造を調べる研究も特にMRI検査が可能になってからは盛んで、このブログでも、明らかな脳損傷が犯罪を誘発する可能性について調べた研究を紹介したことがある(http://aasj.jp/news/watch/7800)。 今日紹介するNew Mexico大学からの論文も同じ線上にある犯罪者の脳研究だが、凶悪犯の中で殺人にま