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neuroscienceとbookに関するkeloinwellのブックマーク (11)

  • 進化論的アプローチで意識の難問に挑む『意識と目的の科学哲学』

    「意識とは何か」という問題のスナップショット。 新書サイズのわずか85ページで、神経生理学、科学哲学、心の哲学の学際領域をコンパクトに圧縮している。いわば意識のハードプロブレムの最前線を切り取った小論といえる。読む前と読んだ後で見え方が変わってしまうをスゴを呼ぶのなら、書はその名に相応しい。この問題の捉え方そのものが変わってしまったのだから。 例えば、「意識の問題はヒトの問題なのか?」という切り口だ。 提唱者のD.チャーマーズが掲げた「脳の物理的な状態と、感じる、見る、思うといった主観的な経験との関連性を解き明かす」という命題には、 「ヒトにとっての」 という語句が隠れている。 わたしは今まで、問題文そのものを疑うことをせず、マリーの部屋とかクオリアについて学んできた。だが、立ち止まって考えると変だ。意識の問題は 「生物にとっての」 という語句から考えるべきだ。 アナバチは「愚か」な

    進化論的アプローチで意識の難問に挑む『意識と目的の科学哲学』
  • 脳はいかにして現実を認識するのか──『あなたの脳のはなし: 神経科学者が解き明かす意識の謎』 - 基本読書

    あなたの脳のはなし:神経科学者が解き明かす意識の謎 作者: デイヴィッド・イーグルマン,大田直子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/09/07メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る我々は"現実"をありのまま受け取っているわけではない。 いったん視覚情報や触覚情報といった身体表面から情報を受け取り、それを脳で解釈することによってはじめて"人間用に最適化された、人間用の世界"を構築する。我々はある種のフィクションの世界を生きているわけだ。 と、大層な語りだしではじめたけれども、書はそうした現実の解釈機関である脳についての一冊だ。著者は日でも『あなたの知らない脳──意識は傍観者である』で知られる神経科学者で、巧みな文章で脳科学の世界を紹介する伝達者である。書は著者が監修・出演したBBCのテレビ番組の書籍版であり、「人はどうやって決断を下すのか」、「人はどう

    脳はいかにして現実を認識するのか──『あなたの脳のはなし: 神経科学者が解き明かす意識の謎』 - 基本読書
  • 読むと思わず検査を受けたくなる一冊──『心を操る寄生生物 : 感情から文化・社会まで』 - 基本読書

    心を操る寄生生物 : 感情から文化・社会まで 作者: キャスリン・マコーリフ,西田美緒子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2017/04/15メディア: 単行この商品を含むブログを見るこの世には多くの寄生生物がいるが、とりわけの嫌悪と注目を集めるのは、寄生先のコントロールを奪うタイプの寄生生物なのではないだろうか。他者をコントロールするタイプの寄生生物は、フィクションでもだいたい人類の敵である。書はそんな嫌われものの寄生生物たちについて書かれた一冊だが、これがめっちゃおもしろい。 思わず目をそむけたくなるようなエピソードだらけなのだけれども、だからこそ惹きつけられてしまう。"いったいどうやって寄生しているのか"からはじまって、"寄生することでどのように利益を得ているのか"、また"どのようにして宿主のコントロールを奪うのか"まで含め多種多様で凄まじくグロテスクだ。その上、最終的

    読むと思わず検査を受けたくなる一冊──『心を操る寄生生物 : 感情から文化・社会まで』 - 基本読書
  • (書評)『真理の探究 - 仏教と宇宙物理学の対話』 - ニューロサイエンスとマーケティングの間 - Between Neuroscience and Marketing

    Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII @Flagstaff, AZ これ以上、ディープなテーマのを探すのは困難だろうと思われる一冊。世界的な理論物理学者である大栗博司先生と、仏教学の泰斗である佐々木閑(しずか)先生の対話。 年末ぐらいから少しずつ読んできて、途中で全く関係のない『サピエンス全史』とか再度読み始めてしまったり*1、全く別のことにハマってしまったりしたためにようやく読了。 『真理の探求』というタイトルがやばすぎて、机の上をふらっと見た人に「遂にその道に、、、(絶句)」的な反応を示されることが多いでもありました*2。そういう意味で魔除け的な効果があるのがオススメポイントその一です。笑 対話形式なので、双方の先生の質問がまた理解をぐっと深めてくれます。 - 比較的冒頭に、双方から突き詰めた結果、どちらの立場からも「人生の目的はあらかじめ与えられてい

    (書評)『真理の探究 - 仏教と宇宙物理学の対話』 - ニューロサイエンスとマーケティングの間 - Between Neuroscience and Marketing
  • あてにならない記憶──『脳はなぜ都合よく記憶するのか 記憶科学が教える脳と人間の不思議』 - 基本読書

    脳はなぜ都合よく記憶するのか 記憶科学が教える脳と人間の不思議 作者: ジュリア・ショウ,服部由美出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/12/14メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るサイエンスノンフィクションでイラストがついているのは珍しいので警戒しながら読み始めたのだがこれがおもしろい! 記憶科学の中でも、主にいったん記憶した内容を人がいかに都合よく書き換えるのかといった過誤記憶の分野(研究者は少ないらしい)を専門的に研究するジュリア・ショウによる一般向け解説書である。 赤ん坊の頃の記憶は存在するのか? たとえばいったいどのようなものが過誤記憶なのか? といえばその類例は幅広いが、有名所でいえば「赤ちゃんの頃の記憶がある」というのは基的にありえなく、過誤記憶だとされている。『成人が乳児期、幼年期の記憶を正確に思い出せないことは、以前から研究により明らかに

    あてにならない記憶──『脳はなぜ都合よく記憶するのか 記憶科学が教える脳と人間の不思議』 - 基本読書
  • 不健康な脳から健康な心を推論する──『脳はいかに意識をつくるのか』 - 基本読書

    脳はいかに意識をつくるのか―脳の異常から心の謎に迫る 作者: ゲオルク・ノルトフ,高橋洋出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2016/11/05メディア: 単行この商品を含むブログを見る近年機能的磁気共鳴画像法(fMRI)など新技術の出現で脳の活動がより精確に観測できるようになり、神経科学は飛躍的に進歩した。そうなると気になるのは、我々が「意識」や「心」と言っているものはいったいなんなんだという問いかけである。 幾つもの神経科学方面のがその謎に挑んでいるが、書は「機能不全に陥った脳を調べ、健康な脳と比較・検証することで心を推論する」こと。また脳が受け取った情報の純粋に客観的な処理を、主観的な「心」に変換する時に何が起こっているのかを追求し、「哲学」と「神経科学」の融合した「神経哲学」分野を切り開いてみせる野心的な一冊である。 私の目的は、不健康な脳から健康な脳を推論することだ。それに

    不健康な脳から健康な心を推論する──『脳はいかに意識をつくるのか』 - 基本読書
  • 脳は受け取る情報を支配する──『触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか』 - 基本読書

    触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか 作者: デイヴィッド・J.リンデン,David J. Linden,岩坂彰出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/09/21メディア: 単行この商品を含むブログを見る触れること、触れられることというのは日々の生活に密接に関与してくるものだが、あまりに当たり前すぎて意識にのぼる/疑問に思うことも少ないものだ、と書を読んではじめて理解した。たとえば親しい相手との身体的接触は心地よいものだが、知らない人間との身体的接触は極端なほど不愉快であるのはなぜなのか。 夢中になって何かをやっている時(スポーツとか)、身体が怪我をしていても気が付かない時があるのも不思議だ。生殖器とそれ以外で感じ方に大きな差があるのは脳科学/神経科学的にはどのように説明付られるのか。痒みと痛みはどう違うのか、なぜ痒い部分をがりがり掻くと、一時的にしろ痒みが和

    脳は受け取る情報を支配する──『触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか』 - 基本読書
  • 恐怖を科学する『コワイの認知科学』

    怖いとは何か? 怖さを感じているとき、何が起こっているのかを、脳内メカニズム、進化生物学、発達心理学、遺伝子多様性からのアプローチで概観した好著。 喜びや悲しみ、怒りなど、人の心は様々な情動に彩られている。なかでも「恐怖」は根源的なものであり、より生理的に近いように思える。怖いものをコワイと感じるから、危険や脅威から身を守り、生き残れてきたのだから。こうした漠然とした認識に、科学的な知見を与えてくれるのが書だ。「怖いもの」に対する脳内での反応や、恐怖の生得説・経験説の議論、怖さの種類や抑制メカニズムを、研究成果を交えながら解説してくれる。 たとえば、「ヘビはなぜ怖いのか?」の研究が面白い。もちろん、ヘビ大好きという人もいるにはいる。だが、一般にヘビは「怖い」ものと嫌われている。 いきなり「なぜ(why)」と問いかけると、聖書の原罪における役割や、ヤマタノオロチ伝説など、文化や哲学のアプロ

    恐怖を科学する『コワイの認知科学』
  • 読めばあなたもゾンビになれる(かもしれない)──『ゾンビでわかる神経科学』

    ゾンビでわかる神経科学 作者: ティモシー・ヴァースタイネン,ブラッドリー・ヴォイテック,Kousuke Shimizu,鬼澤忍出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2016/07/20メディア: 単行この商品を含むブログを見る『ゾンビでわかる神経科学』という書名からは強烈な一発ネタ感が漂う。 なので、最初の一、二章ぐらいがネタとしておもしろければ良いかなと思っていたのだが、読み終えてみれば神経科学の網羅的な一般向けノンフィクションとして単純に良い内容だ。ゾンビの生態から神経科学を解説するパートも著者らが熱烈なゾンビマニアであることを誇示するように無数のゾンビ映画小説のネタが盛り込まれていき、ネタをネタで終わらせない覚悟がみてとれる。全体的に気な一冊であった。 そもそも著者は二人とも認知科学、神経科学の専門家、大学の助教授であり、ゾンビ・リサーチ・ソサイエティ(世界中で千人を超えるゾ

    読めばあなたもゾンビになれる(かもしれない)──『ゾンビでわかる神経科学』
  • 「記憶をコントロールする――分子脳科学の挑戦」井ノ口 馨 著 | Kousyoublog

    記憶のメカニズムについて簡潔にまとまった脳科学者による入門。超わかりやすく手堅い内容で120ページほどの分量と読みやすい、おすすめの一冊です。 記憶をコントロールする――分子脳科学の挑戦 (岩波科学ライブラリー) posted with amazlet at 14.04.17 井ノ口 馨 岩波書店 売り上げランキング: 46,030 Amazon.co.jpで詳細を見る タイトルの「記憶のコントロール」からもしかするとライフハック的な「記憶をコントロールする〇個の方法」みたいな何かを期待するかもしれないけれど、マウスに音を聞かせると同時に電気ショックを与えたら恐怖の記憶を覚えている、とか、側頭葉に電流を流したら被験者の記憶がよみがえったとかそういう脳科学の研究上、記憶のコントロールが可能となってきた事例のこと。 書で紹介されているカリフォルニア大学サンディエゴ校ラリー・スクワイア教授の

    「記憶をコントロールする――分子脳科学の挑戦」井ノ口 馨 著 | Kousyoublog
  • 知性誕生―石器から宇宙船までを生み出した驚異のシステムの起源 - 情報考学 Passion For The Future

    ・知性誕生―石器から宇宙船までを生み出した驚異のシステムの起源 語彙、記憶力、計算、論理思考、反応時間テスト、空間テスト、迷路など、多数の被験者に多様な知的作業をやらせると成績は全体として正規分布を描く。そして何十、何百の項目において正の相関関係がみられる。あることがとても上手にできる人は、べつのことも上手であることが多いのだ。たとえば国語(他の科目でも良いが)ができる子は、算数も英語も社会もできる子である可能性が高い。俗に言う地頭の良さ、要領の良さである。 実験心理学の創始者チャールズ・スピアマンは、無数の能力の相関を調べ上げ、人間の知能には二種類の要素があることを発見した。取り組むどんなことにもその人が用いる一般因子gと、音楽のように他の要素と相関を持たないsである。地頭の良さ、要領の良さは、高いgの賜なのだ。一方、音楽家はいくら作曲や演奏の才能sがあっても、数学や国語ができるとは限ら

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