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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (108)

  • 幻の写本に隠された、とてつもない数学「解読!アルキメデス写本」

    古文書解読の緊張感とアルキメデスの解法のカタルシスを味わう一冊。 ボロボロの祈祷書に、アルキメデスの「C写」が隠されていた、という話。最新の画像解析技術により、幻の写の全貌が現れる。 この写、かなり数奇な運命をたどっている。970年ごろ羊皮紙に書かれ、1229年ごろリサイクルとして消され上書きされ、さらに削られた上に絵が描かれている。保存状態は劣悪でカビまみれ。言及されてないものの、「におい」も相当だろうね。 これを解読するんだ。X線画像化技術、古文書学、文献学、数学などの知識を総動員したチームが組まれる。あらゆるコネとツテをたどって、粒子加速器シンクロトロンを使ったスキャニングまで成し遂げている。 そのプロジェクト進捗が笑ってしまうほどリアルなんだ。つまり、カネと時間をいまくりで遅々として壁にぶつかって急展開で、不謹慎だが面白すぎる。また、プロジェクトマネジメントの真髄(専門家

    幻の写本に隠された、とてつもない数学「解読!アルキメデス写本」
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: いま読むべきスゴ本「ルーツ」

    読もう読もうそのうち読もうと思っていても、タイミングというものがある。 アレックス・ヘイリーの「ルーツ」は、まさに今だと感じた。強制的に連れてこられ、家畜のように働かされ、実質的に米国を支えてきたアフリカアメリカ人――その末裔が大統領になろうとしているのだから。 だから読んだ、30年の積読を経て。 合衆国の黒歴史ともいえる黒人奴隷の問題を真正面から描いた書は、1977年のピューリッツァー賞を受賞し、世界的ベストセラーとなり、TVドラマ化され、一大センセーションを巻き起こした。「クンタ・キンテ」といえば、ご存知の方もいらっしゃるかと。 書の体裁は「小説」なのだが、著者が12年かけて自分の祖先を調べあげた集大成でもあるため、ファクト(事実)とフィクションを掛け合わせた「ファクション」と呼ばれている。親子七代、200年に渡る壮大な物語をまとめると(まとめられるのか!?)、「あらゆるものを奪

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: いま読むべきスゴ本「ルーツ」
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: だめな国は何をやってもだめ「最底辺の10億人」

    「だめな奴は何をやってもだめ」という箴言は、国にもあてはまるのかもしれない。 すなわち、「だめな国は何をやってもだめ」。国家まるごと腐りきっており、大統領から警官まで賄賂と蓄財に勤しむ。国家経営は破綻し、令状のない逮捕、裁判のない拘留、嘘選挙がまかりとおる。行政機関は国家資を強奪するために存在し、軍部の武器は国内に向けられている。 まず、資が流出し、次に教育のある労働力が逃げ出す。大統領命令でお札を刷りまくり、「超」のつくハイパーインフレになる。援助は指導者の蓄財にまわされ、海外の銀行に貯め込まれる。社会資として回転しないから、経済の発展もない(アフリカ最貧国の指導者の多くは、世界でも超富裕階級に属している)。 そして、外からの非難に対し、大統領は「レイシスト」だと反撃する。国家の荒廃は「元」宗主国の陰謀だと断じ、仮想敵をつくりだすことによって自分への不満をすりかえる。結果、部族間の

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: だめな国は何をやってもだめ「最底辺の10億人」
  • 衝撃のスゴ本「17人のわたし」

    強い痛みや恐怖が限界を越えると、それを引き受ける人格が生まれる。耐え切れない感情を引き受け、その出来事を「なかったことにする」のだ。あるいは、あったことはぼんやり覚えていても、実体を持って思い出せないようにする防護壁となる。 たとえば、シドニーが誕生したのは、父親に脅された3歳のカレンが恐怖のあまりウンチを漏らしたとき。父親はそのウンチを無理矢理カレンにべさせようとするのだが、この事実を隠蔽し、何もなかったことにするために生まれたのだ。シドニーはその時の恐怖と屈辱を引き受け、3歳のまま時を止める。 あるいは、父親が友人のセックス相手としてカレンを貸し出したときに生まれたのがジュリーという人格だ。カレンは当時11歳、暗闇の中で男にのしかかられた恐怖を引き受けている。血と暗闇を極端に怖がり、男性恐怖症のまま成長を止めている。 ああ、このカレンの父親というやつが最低の糞野郎なことは、わざわざ指

    衝撃のスゴ本「17人のわたし」
  • 「シャドー81」はスゴ本

    スリルとスケールたっぷりのスゴ、この大傑作を紹介できてうれしいよ。 プロットは極めてシンプル。最新鋭の戦闘機が、ジャンボ旅客機をハイジャックする話だ、表紙がすべてを物語っている。犯人はジャンボ機の死角にぴったり入り込み、決して姿を見せない。姿なき犯人は、二百余名の人命と引き換えに、莫大な金塊を要求する。 シンプルであればあるほど、読者は気になるはずだ、「じゃぁ、どうやって?」ってね。完全武装の戦闘機なんて、どっから調達するんだ? 誰が乗るんだ? 身代金の受け渡し方法は? だいたい戦闘機ってそんなに長いこと飛んでられないから、逃げられっこないよ! 書の面白さの半分は、この表紙を「完成」させるまでの極めて周到な計画にある。一見無関係のエピソードが巧妙に配置され、意外な人物がそれぞれの立場から「戦闘機によるハイジャック」の一点に収束していく布石はお見事としかいいようがない。 そして、もう半分

    「シャドー81」はスゴ本
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 「アルケミスト」はスゴ本

    スゴ。ただし、読了後「もっと早く出会っておけば…」と後悔した一冊でもある。 箴言の詰まった寓話としても読んでいいし、自己啓発としてもいける。その証拠に、amazonレビューの方向がなんとバラバラなことか。前者として読んだ方には、サン=テグジュペリ「星の王子さま」を、後者とみなす方は、オグ・マンディーノ「地上最強の商人」をオススメする。それぞれのベクトルの最高峰だから。 つまり、この薄い一冊に、両者のエッセンスが蒸留されているんだ。 BGMは岡村孝子「夢をあきらめないで」が最適――というか、読んでる間ずーっとこの曲が頭ン中をエンドレス。テーマも曲調も歌詞も、書がそのまま歌になっている錯覚に陥る。主人公の少年に対し、アルケミスト(錬金術師)が放った次の一句なんてぴったり。 傷つくのを恐れることは、 実際に傷つくよりもつらいものだと、 おまえの心に言ってやるがよい お話を一言でネタバラシす

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 「アルケミスト」はスゴ本
  • 人により猛毒「イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ」

    「オマエモナー」的に読んで、キツい思いをしよう。 最初は「死」について、次は「性愛」について、この2編はあなたの試金石になるだろう。どれだけ自分のモノにしているかによって、衝撃がまるで違ってくるから。 これをトルストイの昔話のつもりで、他人事として読んだら、くらだないし第一もったいない。「死の葛藤」とか「夫婦愛とは?」と陳腐化しちゃうから。「人生が空っぽだったことに気づいた男の惨めな死にざま」とか、「嫉妬に狂ってを刺し殺しちゃう悔恨」は、他でもない自分ごととして受け止めるべし。 ■ イワン・イリイチの死 まずは、病気で死ぬ男の話。 成功人生を送ってきたが、病を得、どんどん篤くなっていく。家族の冷淡な様子や、ひとりぼっちで惨めな思い、そして、自分の人生がまったくの無駄であったことを徹底的に思い知らされるところなんて、自分に重ねなきゃ。 恐れ、拒絶、戦い、怒り、取引、抑うつ、そして受容といっ

    人により猛毒「イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ」
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 正しい死に方「死ぬことと見つけたり」

    「いかに生きるか」という問いは、そのまま、「いかに死すべきか」につながる。 おっと、逆だ逆、「いかに死すべきか」を追求すると、「いかに生きるか」の行動様式が決まる。書を読むことで、単なる「葉隠」の解釈論を超え、武士という特殊な思考をシミュレートできるぞ。 まず、奔放痛快な時代劇として楽しめる。時代小説という枠に、ロマンスあり、ミステリあり、権謀術数と陰謀、冒険譚から謎解きまで面白い要素がこれでもかと詰まっているからね。 ■ 「自分の死」をシミュレートする しかし、彼らの苛烈な生きざま(と死にざま)を夢中になって追いかけているうちに、自分の死に対する構えも知らず知らず練りこまれていくに違いない。まさかというなら、このあたりを読んでみるといい。 朝、目が覚めると、蒲団の中で先ずこれをやる。出来得る限りこと細かに己の死の様々な場面を思念し、実感する。つまり入念に死んで置くのである。思いもかけぬ

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 正しい死に方「死ぬことと見つけたり」
  • 「こどもをやる気にさせる101の言葉」と「こどもをダメにする130の言葉」

    高校受験をひかえた子どもに向けたメッセージ集。 ただし、それに限らないところがミソ。不安を抱いていたり、今のいま落ち込んでいる人も、書から元気をもらえるかもしれない。むしろ、親であるわたしが勇気をもらっている。 書が気に入ったのは、その質を冒頭にまとめてあるところ。つまり、こんな問いかけで始まっている。 こどものやる気を伸ばすためには、一体、どんな言葉で、どんなことを語りかければいいのでしょうか その答えは、とても簡単なものだという。否定語を少なくして、善いところを大げさなくらい誉めろというのだ。そして、欠点やダメだと思うところは目をつぶり、口やかましいと逆効果になることを心得よと。そうすることで、「自分は親に愛されており、周囲の人たちに大切な存在として必要とされている。生きていていいのだ」という自己肯定感をはぐくむことができる。これがない限り「やる気」は育たず、「やらされ感」のまま

    「こどもをやる気にさせる101の言葉」と「こどもをダメにする130の言葉」
  • フリーマン・ダイソンの知的な挑発「叛逆としての科学」

    一流の物理学者によるブック・レビュー集。 天才科学者といえば独善的な性格が浮かぶが、フリーマン・ダイソンはおよそかけ離れている。独善的な思想は無用とばかりに、物事の多面性や中庸、相補性を重視する。あまり「科学者」っぽくない。 「科学に関して、唯一無二のビジョンなどというものはない」とするダイソンは、還元主義の偏見にとらわれた大物――アインシュタインやオッペンハイマー――を容赦なく批判する。統一理論がどれだけ「現実性」を持つのかは、わたしの不勉強のせいでなんともいえないが、その晩年、統一理論に拘泥したアインシュタインの呪いは、よく分かった。 統一理論のようなもので科学を研究し尽くせない――ダイソンはその理由を、ゲーデルの不完全性定理で説明する(p.198)。ある体系上で、有限の公式を使って演算をする場合に、決定不可能な命題が必ず存在する。すなわち、それらの公式を使って真偽を証明できない数学

    フリーマン・ダイソンの知的な挑発「叛逆としての科学」
  • 「アブサロム、アブサロム!」はスゴ本

    どろり濃厚なミステリとして読んだ、2008年のNo.1スゴ。 ただし、最近のエンターテインメントに甘やかされた読者には、ちと辛いかも。物語は複数の語り手の視線によってさらされ、吟味されているのだから。ストーリー消化率を向上させるための「何でも知ってる説明役」は一切ない。たとえ三人称であってもだまされるなかれ。聞き手の内省であったり対話(!)だったりするのだから。 書を「難解」呼ばわりする人は、「結局ナニがどうなったの?」を把握することこそが、小説を読むことだと思い込んでいる。傑作を「あらすじ」で読んだつもりにしたいのなら、p.439の「年譜」を見るといい。著者フォークナーによって、いつ、誰が、何したかが時系列になっているから(この3ページで読んだフリできるぜ)。ただし、これは完全なネタバレ。恐ろしい出来事、おぞましい運命が淡々と書かれているのがまた怖い。人物系譜も巻末にあるが、これも激

    「アブサロム、アブサロム!」はスゴ本
  • 放浪の天才数学者エルデシュ

    天才はどこか浮世離れしているとはいうものの、エルデシュは群を抜いている。 しかも、その奇行っぷりは数学者の育成に大きく貢献しているときたもんだ。驚異的な言動を追いかけているうちに、エルデシュとは、異世界から地球にちょっと立ち寄った人っぽい「現象」だったのではないかと思えてくる。まるで、数学の進歩を促しにきたかのように。 もちろん、3歳で数学と出会い、自力で負の数を見つけだしたとか、論文数が史上2番目に多いとか(1位はレオンハルト・オイラー)、ほとんど眠らず、1日に19時間も問題を解く毎日だったとか、どのページを開いても桁違いの話ばかりだ。読み手は、驚いたり笑ったり、ちょっとホロリときたり、かなり忙しいだろう。 けれども、一番心うごかされたのは、エルデシュのスタイルだ。彼は「みんなで」問題を解こうとした。世界中に散らばった数学仲間と、同時進行でたくさんの問題に取り組む。粗末なスーツケースひと

    放浪の天才数学者エルデシュ
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 死を忘れないための3冊+

    いずれ死ぬときを思い浮かべて、いまを生きる。これがむずかしい。 「死を忘れるな」と思い刻んだつもりでも、毎日に追われていると、この日が尽きることを忘れる。は買っただけで満足し、欲しいモノを追い求め、毎日あくせくしている割には充実からは遠い。いつか来る「死」からは目を背ける――わたしのことだ。 "Memento mori" は、「死を忘れるなかれ」と訳されるが、LifeHack的に言い代えるなら、「未来の死を思い起こす仕組みをつくり、定期的にくりかえせ」だね。そんな場合に効いてくる映画をご紹介。余命を自覚した人からのメッセージは、文字通り最後のレッスンとなる。定期的にこのレッスンを受けることで、自分の死を、翻っては生を意識することができる。 1時限目 「最後の授業 ぼくの命があるうちに」 2時限目 「モリー先生との火曜日」 3時限目 「冷蔵庫のうえの人生」 課外授業 「死ぬまでにしたい

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 死を忘れないための3冊+
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 「ザ・ロード」はスゴ本

    ピューリッツァー賞を受賞した傑作。 だからなのか、どいつもこいつも誉めまくり。毒舌で鳴らしてる豊崎由美氏をして「問題作にして傑作」とまで言わしめているのだから。もちろんわたしも誉めますが何か? カタストロフ後の世界を旅する、父と子の物語。劫掠と喰人が日常化した生き残りを避けて、南へ南へ――べ物を求めて? べられないように? 残った弾丸の数を数えながら、こんな地獄ならいっそ―― わたしと同じことを、この「父」も考える。 終末世界で人として生きるのは、かなり難しい。 地の文から句読点を外し、会話をくくるかっこ「 」を廃した、全編独白のような文体は、慣れるのに苦労するかも。その代わり、どこに注目すべきか、無駄も隙も否応もなく入ってくる。 やるべきことのリストなどなかった。今日一日があるだけで幸運だった。この一時間があるだけで。"あとで"という時間はなかった。今がその"あとで"だった。胸に押し

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 「ザ・ロード」はスゴ本
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: ドラッカー「マネジメント」はスゴ本

    マネジメントの原則がわかる、いわば原液。 そこらで1,500円で売っている「ビジネス書」は、書の一部をうす~くのばして「再利用」していることに気づく。広い世の中、「ビジネス書を読むのがシュミ」なんて変わった御仁もいそうだが、100冊のビジネス書より、1冊の書を使うべし。 しかしこれ、厚いんだよね。巨大な辞書といったカンジで鈍器にピッタリ。 もちろん、図書館の期限内で読みきれるはずもなく、痛勤電車に持ち込めるはずもなく、むなしく延長と延滞の日々を重ねてきた。抄訳である「エッセンシャル版」は読んだのだが、ブツ切りの主張が脈絡なく連なっている。 それが、ありがたいことに分冊版が出た。4分冊になっており、その第1巻を読む。おかげで、彼の考えを順番に追いながら、一緒に考え抜くことができる。すこし読むだけで「気づき」が山ほどでてくる。付せん使うなら、全ページに貼るハメになる(ヘタすると1ページに2

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: ドラッカー「マネジメント」はスゴ本
    kelokelo
    kelokelo 2008/07/09
    ドラッカーは読んでないんだよなー。
  • 損得勘定の定石を知る「定量分析実践講座」

    コンサルタントやマネージャにとっては、武器庫になる一冊。 もちろん意思決定を行うにあたり、数字で裏付ける重要性は分かってる。けれども、KKD(勘・経験・度胸)だけで決めてないだろうか。最後に「エイヤっ」と決めるとき、跳躍の幅は狭められないだろうか、着地点の精度を高められないだろうか。 そんな意思決定の確実性を高める「定石」が16、紹介されている。 しかも、16種の武器の使いどころや適用例が「case」→「思考のプロセス」→「解説」と三段階で説明されている。「実践的」と銘打っているのはケーススタディが豊富なためだろう。コンビニの新米経営者を主人公とし、彼が直面するさまざまな問題に対し、定量分析手法を駆使していく。その過程を通じて、読者にも武器が扱えるようになるのを狙いとしている。 たとえば、サンクコスト(sunk cost:埋没費用)。 PMBOKガイドで知っていたが、「死んだ子の年を数えな

    損得勘定の定石を知る「定量分析実践講座」
  • ライター必携「調べる技術・書く技術」

    一行目から気に入った。簡潔に、こうある。 あるテーマを設定し、それについて調べ、人に話を聞き、最後にまとめる技術を紹介するのが、書のねらい もっと焦点をしぼれば、 ノンフィクションのテーマ設定 資料収集のノウハウ インタビューのアポとりと準備 インタビュー(聞き取り、観察、記録) ネットワーク作り 資料整理 そして執筆の準備から脱稿までの方法丁寧に徹底的に書かれている。プロフェッショナルの具体的な技術が明かされている。こんなに詳らかにしてもいいのかしらんと心配になるほどオープンだ。 野球のバッティングにたとえるなら、「フォーム」にあたる部分が書。ノンフィクション・ライターとして培ってきた膨大な技術の中から、一般にも役立ちそうな「フォーム」をレクチャーしてくれる。 興味深いのは、書き手が「いい嘘」をついているところ。 一般化できそうな「フォーム」に限定しているから、「著者の独創は最小限に

    ライター必携「調べる技術・書く技術」
    kelokelo
    kelokelo 2008/06/29
    あとで読む。
  • 「とらドラ!」はスゴ本

    読むと幸せになれるラノベ。 目つきは凶悪だが心優しい竜児と、見かけは美少女なのに凶暴な大河が織りなす熱血最強ラブコメディ。どこかにいそうなキャラクターの、ぶっちゃけありえない展開に手に汗にぎる!にやにやする!泣いて笑って顔赤らめて、あの頃の「どきどき」を思い出す。 学園モノが好きなのは、なかった過去を懐かしむため(?) 登場人物にメモリアルを仮託して、予想通りの恋愛模様にニヤニヤする、スピンアウトする展開にドキドキする。うれしはずかしラブコメディ。エエトシこいたオッサンなのに、自分を抱きしめてゴロゴロ転がりたくなる悶えたくなる。このトシになると、「高校生活」はファンタジーと一緒なんだぁ。 スゴいのは、巻を追うごとに濃度と体温と回転数がヒートアップするところ。そして、二人の関係はだんだん変わっていくところがいい。気がつかない(気づきたくない)自分の気持ちと向き合うことのまぶしさを、彼・彼女と

    「とらドラ!」はスゴ本
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: オンナを理解するための7冊

    知でやり込めれば腹立てる。情で迫ると無視される。正論通すと逆ギレだ。兎角オンナは扱いにくい。 ケッコンして何年も経てば、ちっとはオンナを分かった気になれる。 しかし、それはあくまで「分かった気分」だけ。「オンナを理解するなんざ、10万年早いわ!」とか、「生物的に似ているだけで、しょせん違う生き物なのさ…」なんて割り切りたくなる。男脳・女脳とか全部遺伝子のファンタジーにするとラクだもん。 だが断る。 このわたしが最も好きな事のひとつは自分で分からないと思っていることを「知る」ことだから。オンナが大好きだから、理解したい、ちょっとでも近づきたい。何を考えてるのか、知りたい。言葉にするとヘンタイじみているけど、いえいえマジメな知的好奇心ですぞ。 というわけで、オンナの取扱説明書となる7冊をご紹介ー ■ S4G Sex For Girls!―女の子のための性のお話(内田春菊、飛鳥新社、2007)

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: オンナを理解するための7冊
  • 「コンゴ・ジャーニー」はスゴ本

    とんでもない旅行記。 臨場感たっぷりの破天荒さに、最初は小説だと思ってた。それっぽい表紙は映画化されたスチルなんだと信じ込んでた。 ところが、これが物のノンフィクションだと知ってのけぞった。 だいたい、赤道直下のコンゴ奥地に恐竜の生き残りを探しにいくなんてどうかしてる。しかも、そのために全財産を投げ打って追っかけるなんて、オツムがあったかいとしか言いようのない。 蚊、ノミ、ダニ、シラミ、ナンキンムシ、アブ、ブユ、ツェツェバエ――血と汗を吸い、皮膚の下にタマゴを生みつけようとするやつら。爪の間や性器に入り込もうとする線虫・回虫・寄生虫もあなどれない。そしてゴキブリ!ベッドマットを持ち上げたらゴキブリがざーっとあふれ出る場面は全身トリハダ立ちまくり。 マラリア、眠り病、梅毒、イチゴ腫、エイズ、エボラ出血熱、コレラ―― 描写のいちいちが克明で、読んでるこっちが痒くなる。風土病や感染症だけではな

    「コンゴ・ジャーニー」はスゴ本