菅直人首相が国会開会の施政方針演説で「平成の開国」という言葉を繰り返し使った。年頭会見などでも発言していた言葉ではあるが、それにしても重い言葉を、いとも軽々と使っていると思った。少なくとも戦後日本の経済苦闘史をほとんどご理解いただいていないようである。 演説では、日本はこの150年間に「明治の開国」と「戦後の開国」を成し遂げました、と述べた。が、正確にいえば日米和親条約を結んだ江戸幕府が開国時の政権であり、「江戸幕末の開国」というべきだろう。もっとも、それによって内乱(戊辰戦争)が起き、幕府が倒れ、明治という時代が開かれる。 明治は欧米文明の取り入れによって発展するが、開国は引き継いだだけだ。辞書で「開国」を引くと「(1)初めて国を建てること。建国(2)外国と交通を始めること。対義語は鎖国」(広辞苑)とある。 「戦後の開国」もおかしい。戦後、日本は無条件降伏から米国中心の占領軍が乗り込んで