日本経済の活性化 市場の役割・政府の役割 伊藤隆敏・八代尚宏編 〜それでも広範な分野で改革は必要と諄々と説く - 09/11/16 | 08:00 小泉構造改革路線は頓挫し、郵政「再国営化」に見られるように、改革逆行になっている。本書は、改革の旗を揚げる経済学者たちの論文集である。論文集ではあるが、経済社会環境の変化に対応した最適の制度への改革を進めていかなければならないという共通の問題意識の下で、農業、林業、雇用、金融、財政、社会保障という広範な分野が分析されており、散漫な感じはない。 考えてみると、日本には草も生えない不毛の地というものがない。本書は、豊かな農業資源と優秀な農業人材があるにもかかわらず、日本の農業が衰退しているのは、誤った政策で人々の能力が発揮されていないからだとする。誤った政策がなされる要因として、農家戸数の減少につながる規模拡大を嫌い、組合員数の維持を望む農協の存