大手から中堅まで、日本のITベンダーが中国でのビジネス拡大に乗り出している。狙いは現地企業と政府だ。日系企業の中国進出の後を追うこれまでの消極的な姿勢を改め、新市場の開拓に挑む。だが成功するかどうかは未知数だ。 「我々の技術や実績を、ぜひとも中国の経済発展に役立てたい」。9月14日、富士通の山本正已社長は、ある中国人女性の元を訪れ、こう告げた。女性とは、国家工業和信息化部電子科技委のチャン・チー(チャンは張、チーはおうへんに其)氏。中国におけるスマートシティ計画「物聯網(ウーレンワン)」を取り仕切る人物である。張氏は「積極的な進出を期待しています」と満足げに応じた。 物聯網は、RFID(無線ICタグ)やセンサー技術などを駆使してスマートシティの実現を目指す国家戦略だ。その市場規模は、2020年に推定60兆円に達するとみられる。巨大プロジェクトへの参入に向けて、活発に動いているのが富士通だ。