◎ 新書だが本格的な学術書に仕上がっている本 ◎ 【本論「部分」だけの書評を超えて】 ① 新 雅史(あらた まさふみ)『商店街はなぜ滅びるのか-社会・政治・経済史から探る再生の道-』光文社,2012年5月 本書は新書判で 221頁〔実質の本文は 215頁〕の専門書である。新書判で専門書を制作するといっても,これはなかなかむずかしい作業となる。それでも,一部の新書判の本が学術書の体裁をととのえて制作されている。限られた頁数(分量)で専門的な議論を展開する本を作るというのは,それ相応の努力・工夫が要求される。 本書が発売されてからだいぶ時間が経っているので,サイバー空間にはすでに論評が多く公開されている。それらから任意にいくつかを参考に聞き,そのあとに本ブログの筆者が,本書を読了してとくに摘出できた関心事に論及してみたい。 本書の概要はこう解説されている。「きわめて近代的な存在である