僕の友人のAとBは同じ女を好きになった。 AとBは毎日その女に話しかけ、どちらが優勢になるわけでもなく、うざがられるわけでもなく、むしろA・B・女の『仲良し3人組』が出来上がっていた。 僕から見た感じでは、その女はAとBの両者に同じくらいの好印象を抱いているようだった。 しかし、AにしてもBにしても『仲良し3人組』という関係をさっさと崩したいと思っていた。早く告白して早く付き合いたい、と。 あるときAはBに言った。「俺、そろそろ告白しようと思うんだ。良いよな?」と。そう言われて「ああ、いいよ」と首を縦に振る馬鹿はいないだろう。Bは思いきり首を横に振って「いや、ダメだ」と叫んだ。おそらく、前夜に寝違えて首を横に振れない状態だったとしても、むりやり横に振り回したであろう。そのくらいの勢いある否定であった。 これは喧嘩の始まりか?…と、僕が第三者的立場の余裕で傍観していると、Aが唐突に数学の話を