「いい声」というものにこだわる若手声優は非常に多いです。志望者の中にもおそらくいることでしょう。 「大塚さんはいい声だからいいですよね。僕なんて……」「どうやったらそんなにいい声が出るのですか?」 聞き飽きた言葉です。もちろんユーザーの方に言われる分にはとてもありがたいのですが、同業者から聞きたい台詞ではありません。 いい声? お前はじゃあ、ほかのことで勝負しようとは思わないのかい。そう返してやりたくなることもしょっちゅうです。 声優の仕事は「声づくり」ではない 声優とは、いい声を出すことに価値がある――。 そんな誤った考え方が蔓延しているのではないか、という危惧は近頃ずっと抱き続けてきました。現場で若手の演技を見ていても、「いい声を出そう」という部分に意識が向かっているなと感じることが多いのです。 こういう若手ばかりの状況では、私の仕事が途絶えることはありません。「声の芝居」の捉え方が根