『本の雑誌』2007年9月号(本の雑誌社)の「編集生活60年――出版芸術社・原田裕氏インタビュー」(聞き手・構成/新保博久)より。 (「戦後の一期生」として講談社に入社以来、60年に及ぶキャリアを持つ編集者(現・出版芸術社社長)・原田裕さんへのインタビューの一部です) 【原田裕:昭和28年に出版部に移ったらすぐに、山岡荘八さんから「ぜひ頼みがあるんだ」って。山岡さんは雑誌のころ担当して、さんざんお世話になったというか、いっぱい飲ましてもらった人でね。あのころ原稿もらってくると、編集部みんなで回し読みして感想を書くわけですよ、匿名でね。そこであんまり評判が悪いと書き直しを頼むか、突っ返すしかない。それが一番多かったのが山岡さんだよ。作中人物がすぐ一席弁じたりして、弱ったなあ、先生またお説教書いてきちゃったよって(笑)。でも、あのころご馳走してくれるって大変なことだった。金があっても食べるもの