「我々の業界は、企業や社会のインフラを担う重要な産業だ」。大手SIerの経営者らが好んで用いるフレーズだが、私はどうも気に食わない。「なに因縁を付けているんだ」と言われるだろうが、この言葉には欺瞞の匂いがプンプンする。もちろん情報システムが、企業や社会の重要なインフラであることはアグリーだ。だが「IT業界を重要な産業」というのは、ある種の免罪符にすぎない。 免罪符というのは、多重下請け構造による賃金格差を温存し、長時間労働を常態化させていることに対する免罪符である。「どこの後進国の話だ」と思うほど前近代的な環境に技術者を放り込んでおきながら、社会インフラを担う重要な産業と自らを位置付けることで「仕方がない」と居直る。居直るというのは言い過ぎかもしれない。SIerの経営者も少しは後ろめたいだろうから、そう言うことで自己欺瞞を図っているのかもしれない。 前近代的なIT業界でいうところの重要なイ
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