編集:天理大学附属天理図書館,大橋正叔(解説)出版社:八木書店装丁:大型本(652ページ)発売日:2021-05-25 ISBN-10:484069771X ISBN-13:978-4840697712 佐藤春夫・芥川龍之介・谷崎潤一郎・石川淳らが激賞した上田秋成晩年の傑作短編集『春雨物語』。写本でのみ伝えられた本作に、突如出現した新出自筆本がもたらす数々の謎とは。 傑作に潜む蠱惑的な謎 ―上田秋成『春雨物語』の新出自筆本―新たな自筆本の出現新たな『春雨物語』の写本が出現した。しかも、その写本は秋成自筆で、これまで知られる年記としては最も秋成の死に近い「文化六季(年)五月」の奥書を有するのである。その写本が秋成作品の収集では日本一といってよい天理大学附属天理図書館に納まったのは、秋成研究者にとって幸いなことだった。もちろん泉下の秋成も喜んでいるだろう。その新しい『春雨物語』すなわち羽倉信美