ああ、なんと美しく、人を酔わせる音楽なのだろうか。この美しさと陶酔をあなたに伝えるために、どんな言葉を記せばよいのでしょうか。“泥水”というタイトルには、逆説的な意味が込められているのでしょう。泥水は汚いが、そのザラザラとした泥が、水の美しさを際立たせている。また、泥のザラザラとした質感そのものが、美しさである。この逆説的な『MUDDY WATER』というタイトルが、この作品の、ダーティで、エレガントな音を見事に言いあらわしている。 音楽の言葉で語ろう。アンビエントとビート・ミュージックとラップ。この三つが、HIDENKA x FUMITAKE TAMURA (BUN)の作品のキーワードとなる。だが、『MUDDY WATER』のトラックを担当したBUNの音は、たとえば、クラムス・カジノの浮遊感とは違うし、LAビートの潮流の後追いでもない。フライング・ロータス以降”、“J・ディラ”以降という