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ブックマーク / honz.jp (33)

  • 『よしもと血風録 吉本興業社長・大﨑洋物語』 - HONZ

    2017年現在。僕はまだ吉興業の社長をやらせてもらっている。 「吉のやり方は読めない。いったいどうやって戦略を立てているんですか?」 最近は人からこんな風に聞かれることも増えた。 だが、このを読んでもらえば分かるように、僕自身には戦略のようなものがあったわけではない。目の前に出てきた〝やらなければならないこと〟や、半ば行き当たりばったりのように思いついたアイディアを、周りの助けを借りてなんとか形にしてきただけだ。人から教えてもらい、で読んだりしたことを自分なりに受け止め、できることを考え、やることがなければ自分で探してみる。そんなことの繰り返しだ。 それでも吉の在り方をほめていただけるのであれば、それは吉興業を助け、支え、応援してくれてきた人たちのおかげである。もちろん、すべての原動力となる芸人さんたちの努力と才能は欠かせない。 さすがに今は個別のプロジェクトで走り回る機会は減

    『よしもと血風録 吉本興業社長・大﨑洋物語』 - HONZ
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    kilminwq 2017/09/23
  • 『成功する人は偶然を味方にする』そのための具体的な手段は存在する - HONZ

    書はコーネル大学の人気教授で、ニューヨーク・タイムズの人気コラムニストでもあるフランク教授の著書ということで、よくありがちなアメリカ的な成功指南書なのかと思って読み始めた。 特に、邦題が『成功する人は偶然を味方にする』となっているので、偶然さえも自分の力でコントロールできるという意味なのかと誤解しそうだが、実際には成功者に自分の成功をもっと謙虚に受け止めるよう諭すと同時に、才能や努力といった個人の力だけではどうにもならない社会的な問題を解決し、幸運な社会を作るための公共政策的な提案を行っている経済学である。 それで改めて原題を見てみると、「Success and Luck : Good Fortune and the Myth of Meritocracy」(成功と運:幸運と実力主義という神話)となっていて、邦題とは微妙にニュアンスが違う。この原題から読み取れるように、著者は成功に至

    『成功する人は偶然を味方にする』そのための具体的な手段は存在する - HONZ
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    kilminwq 2017/05/06
  • 『欲望の資本主義』おカネとは何か? - HONZ

    ゲーム理論の専門家で大阪大学准教授の安田洋祐氏がナビゲーターを務めるNHKドキュメンタリー『欲望の資主義〜ルールが変わる時〜』の内容をまとめた書は、およそ経済活動に関わる全てのビジネスマンにとってmust readの一冊である。 番組の中では、コロンビア大学教授のジョセフ・スティグリッツ氏、スタンフォード大学教授のアルヴィン・ロス氏、『善と悪の経済学』(東洋経済新報社)の著者でチェコ総合銀行マクロ経済チーフストラテジストのトーマス・セドラチェク氏、ベンチャーキャピタリストでシェルパキャピタル共同創業者のスコット・スタンフォード氏、インドネシアのeコマース最大手「トコペディア」CEOのウィリアム・タヌウィジャヤ氏の5人が安田氏と対談しており、また、エマニュエル・トッド(歴史人口学者)、ルチル・シャルマ(モルガン・スタンレー・インベストメントマネージメント チーフストラテジスト)、ウィリア

    『欲望の資本主義』おカネとは何か? - HONZ
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    kilminwq 2017/05/04
  • HONZメンバー推薦! 人生で一番影響を受けた本 - HONZ

    春の合宿を行った際、今までで一番影響を受けたを紹介せよ!という命令が成毛眞より下った。下は大学生から上は還暦オーバー組まで、「が好き」なのは変わらないが、幼いころから好きだった人、大人になって目覚めた人など、ひとそれぞれ。 ♬育ってきた環境が違うから~♪というわけで、かなり個性的で興味深いラインナップになった。絶版も多いけど、今の時代、図書館や古屋さんでだいたい見つかります。新生活での読書ガイドとしてご利用ください。 ◆成毛眞

    HONZメンバー推薦! 人生で一番影響を受けた本 - HONZ
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    kilminwq 2017/04/06
  • 『図説シルクロード文化史』 - HONZ

    正倉院はシルクロードの終着点であると教わった記憶がある。「月の沙漠」の歌ではないが、シルクロードという言葉には、ラクダの隊商が列をなしてローマやペルシャから遥々と中国まで(さらには奈良の都まで)宝物を運んできたロマンチックなイメージがある。著者は、シルクロードの重要な中継地であったクロライナ王国のニチャと楼蘭、鳩摩羅什(有名な仏教の訳経者)の故郷クチャとキジル石窟、トルファン、サマルカンド、敦煌、ホータンなどのオアシス都市とシルクロード終点の国際都市長安を舞台に、それぞれの地域から出土した史料を綿密に考証してシルクロードの交易の実相を多数の図版とともに明らかにした。 シルクロードは実際の一道ではなく、砂漠や山岳地帯をつらぬく、つねに変化する道筋のつらなりだった。乾燥した気候のおかげで多量の文書や遺物が残った。ヘディンやオーレル・スタインなどの探検家がこれらの文物を多数回収したが、中でも、

    『図説シルクロード文化史』 - HONZ
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    kilminwq 2016/08/27
  • 新時代への議論の基礎──『人間さまお断り 人工知能時代の経済と労働の手引き』 - HONZ

    この数年、怒涛のように人工知能関連が刊行されたこともあって、今となっては「人工知能によって雇用は失われます!」と危険性を指摘するだけのは真新しくもおもしろくもない。書もその類のなのかと思っていたが、議論は既存の同ジャンルノンフィクションに比べても一歩先に進んでおり、未来予測も頷くところ多しで予想を裏切って大変楽しく読ませてもらった。 最初に書の内容をざっと紹介してしまうと、副題に「人工知能時代の経済と労働の手引き」とあるように、機械学習やニューラルネットワークなど各技術分野の進歩が著しいこの人工知能時代において、不可避的な失業問題にどう対処すべきか、機械道徳はどうあるべきか、AIの過失を法律はどう判断すべきか、富の分配について──などの産業/社会的なインパクトをできるだけ現実に即し、政策レベルでの解決法を語る、今まであまりなかったガイドになっている。 労働市場について 人工知能

    新時代への議論の基礎──『人間さまお断り 人工知能時代の経済と労働の手引き』 - HONZ
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    kilminwq 2016/08/25
  • 『情報参謀』世のムードを可視化する - HONZ

    自民党が大敗して政権を失った2009年夏の総選挙。その直後から2013年夏の参議院選挙で政権を完全に奪還するまで、自民党の情報戦略の「参謀役」を務めた人物が1461日間にわたる活動を振り返った1冊である。 書に書かれている野党時代の自民党の情報分析活動の内実は「一度として明らかになったことはない」という。「カネ」や「情実」といったイメージがつきまとう政治の世界にも、年々進歩するデータ分析の波は押し寄せている。 大量のデータを分析することによって、世の中に何となく漂っているムードのようなものが可視化される。報道の中で政治はどれほど扱われているのか、その中での自民党の露出度はどれほどのものか、今一番露出度の高い政治トピックは何なのか。分析結果は、争点化させる話題の選択から、政党CMの内容、選挙での戦い方に至るまで様々な事柄に影響を及ぼす。 著者らは情報を「一発屋」タイプと「ロングヒット」タイ

    『情報参謀』世のムードを可視化する - HONZ
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    kilminwq 2016/08/20
  • 『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』最近、再び増殖中 - HONZ

    「ディストピア」とはユートピアの反対語。理想郷じゃない場所のことだ。「日スゴイ」ならユートピアなんじゃないの?と思いながら読みはじめると、戦時下に行われたプロパガンダによって洗脳された日人の姿に戦慄させられる。言葉の力は強大だ、プラスに働いてもマイナスでも。 書には昭和初期から終戦までに出版された、当時の「日スゴイ」の中から「日主義」「礼儀」「勤労」など、現代にも通ずる日礼讃キーワードごとに、膨大なを吟味していく。こんなことが大真面目に語られていたかと驚くばかりである。 そもそも「日スゴイ」のネタの原型はどこにあるのか。探っていくと見つかったのは週刊新潮の版元、新潮社が出していた月刊総合雑誌「日の出」であったのだ。 満州事変を契機とする日の国際連盟脱退を受けた「日の出」1933年10月号には「世界に輝く日の偉さはこゝだ」という特別付録が付いていた。地球上に全く孤立無援

    『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』最近、再び増殖中 - HONZ
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    kilminwq 2016/08/06
  • 『喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日』解説 by 中原 圭介 - HONZ

    かつて江沢民が国家主席だった時代に、中国の市場経済化が待ったなしで進むなかで、国有企業の民営化が凄まじいスピードで行われた。そのとき、国有企業の膨大な資産を引き継いだのは、大半が共産党の高級官僚だった。このことが、中国が汚職国家となる原点であったといえるだろう。 共産党の高級官僚は自らがトップを務める企業の利益を追求するために、特権をふるいながら汚職にのめり込んでいくことになった。あらゆる産業の分野で彼らの息のかかった既得権益集団が形成される土壌が形づくられていき、官僚と資産家、あるいは官僚と業者の癒着が常態化し、腐敗と汚職を急増殖させていったのである。 中国の汚職や不正は、他国と比べてもスケールが大きい。国有銀行や国有企業の元幹部たちのなかには、1000億円単位の汚職や横領を働いた者もおり、当局に拘束される前に海外へ逃亡してしまっ

    『喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日』解説 by 中原 圭介 - HONZ
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    kilminwq 2016/07/26
  • 『ジハーディ・ジョンの生涯』テロへの恐怖が、新たなテロリストを生み出す - HONZ

    鋭利な刃物を手にした黒装束の男と、オレンジ色のジャンプスーツで手を縛られた人質。ネットを通して瞬く間に拡散した、あまりにも残忍な光景を多くの人は忘れることなどできないだろう。 その後、凄惨な行為はフランスを始めとする世界各地へと飛び火し、さらに多くの犠牲者を出すことにもなった。まさにテロの連鎖というべき状況を断ち切っていくためには、我々は何をするべきなのか? そして何をすべきではないのか? むろん、事件の加害者に気持ちを寄り添わせることなど、到底出来はしない。だが犠牲者だけではなく、その事件が起きた社会的な背景にも気持ちを寄り添わせなければ、負の連鎖を断ち切ることは難しい。ただ加害者のパーソナリティに憎悪の気持ちを向けるだけでは、新たなテロリストを生み出してしまうだけなのかもしれない。 書は、後に黒覆面の処刑人として世界を震撼させることになる、「ジハーディ・ジョン」ことモハメド・エムワジ

    『ジハーディ・ジョンの生涯』テロへの恐怖が、新たなテロリストを生み出す - HONZ
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    kilminwq 2016/07/16
    『ジハーディ・ジョンの生涯』テロへの恐怖が、新たなテロリストを生み出す - HONZ: ジハーディ・ジョンの生涯 作者:ロバート・バーカイク 翻訳:野中 香方子 出版社:文藝春秋…
  • 『レッドチーム思考 組織の中に「最後の反対者」を飼う』 - HONZ

    「どうしてこんな商品が、こんなCMが、こんなデザインが世に出てしまったのだろう?」と、私は思うことがある。おそらく、読者の皆さんにもそうした経験はあるのではないだろうか。だが、書『レッド・チーム思考 組織の中に「最後の反対者」を飼う』を読んで、ようやく腑に落ちた。 私たちは誰しも、「毎日を過ごす組織の文化に縛られ、上司や職場の好みに自分を合わせがち」だし、「長年なにかに慣らされてしまうと物事を客観的に見られなくなってしまう」のだ。それは何も、私たちが「無能」だからではない。人間の思考と行動は、常にそうしたバイアスに縛られているからだ。 自分の信念を裏付ける事実にばかり目がいくトップの「追認バイアス」。 そのトップの意向にそうことが自分の昇進になると考える「組織バイアス」。 この2つのバイアスがあるために、組織は、外部から見るととんでもない決定をし、それを執行してしまう。 では、それを防ぐ

    『レッドチーム思考 組織の中に「最後の反対者」を飼う』 - HONZ
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    kilminwq 2016/06/23
    『レッドチーム思考 組織の中に「最後の反対者」を飼う』 - HONZ: なぜ名だたる有名企業が、次々と世間を賑わすような事件を起こしていくのか?…
  • 『遺伝子組み換えのねじ曲げられた真実』日本の消費者はドルーカー氏の警鐘を どう受け止め、どう生かせばよいか - HONZ

    『遺伝子組み換えのねじ曲げられた真実』日の消費者はドルーカー氏の警鐘を どう受け止め、どう生かせばよいか巻末解説 ファインマンの暗示と「不確かな科学」の政治化 米国の著名な物理学者のR・P・ファインマン博士に、『科学は不確かだ!』という講演(大貫昌子訳、岩波現代文庫)がある。「科学者は自分の理論の誤りを、決して隠そうとはしません。それどころか彼の進歩と興奮は、実はまったくその逆のところ、つまり誤りを発見する過程にあるのです」。一方「人類が犯す唯一の過ちは、……答えがわかったと決め込んでしまうことです。……僕らはそんなに賢くありません」と博士は語っている。 博士は生物科学についても言及する。過去200年において科学は急速な発展を遂げ、現在「生物科学はもっとも驚くべき発見の寸前」にある。しかし「近い将来、生物学の発達が前代未聞の問題」を起こすと暗示する。博士はここでオルダス・ハクスリー著『す

    『遺伝子組み換えのねじ曲げられた真実』日本の消費者はドルーカー氏の警鐘を どう受け止め、どう生かせばよいか - HONZ
    kilminwq
    kilminwq 2016/06/22
    『遺伝子組み換えのねじ曲げられた真実』日本の消費者はドルーカー氏の警鐘を どう受け止め、どう生かせばよいか - HONZ: 遺伝子組み換えのねじ曲げられた真実…
  • 剣のように強い力を持った本の記録──『戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)』 - HONZ

    紀元前から人類は図書館と共にあったが、それは場所が戦地にあってもかわらない。人はいかなる時であっても──というよりかは、過酷な状況にあってこそ書籍を求めるのかもしれない。 書『戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)』は「第二次世界大戦時に、強いストレスに押しつぶされそうになっている兵士たちの心を癒やすため、海を渡って兵隊らに行き渡った書籍」についての歴史である。この運動は市民や図書館といった多くの人の手によって集められたに加え、兵隊が持ち運びをしやすいように、兵士専用にあつらえられた兵隊文庫がつくられることでの形態も変化させていった。それは後の出版文化にも大きな影響を与えていくことになる。 また、そうした一連の運動は、1933年からドイツで行われていた非ドイツ的なものを排除する思想統制の目的にて行われた政府公認の焚書(最終的にはこの焚書によって1億冊以上が塵となったという。)にたい

    剣のように強い力を持った本の記録──『戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)』 - HONZ
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    kilminwq 2016/06/05
    剣のように強い力を持った本の記録──『戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)』 - HONZ: 戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊) 作者:モリー・グプティル・マニング…
  • 『殺人犯はそこにいる』「真犯人」の存在を明らかにした "調査報道のバイブル" 文庫解説 by 牧野 洋 - HONZ

    徹底した「調査報道」のスタイル 調査報道のバイブル──。書を読み終え、こんな表現がぴったりではないかと思った。 正直に言うと、民放テレビ業界については「そこは報道ではなくエンターテインメントの世界」と見下していた。そのため、メディア業界を取材するなかでも、ジャーナリズムという視点からこの業界を観察したことがなかった。書の著者が民放テレビ局の記者だと知り、自分の無知と思い込みを恥じた次第だ。 書は、足利事件をはじめ北関東で起きた一連の事件を「北関東連続幼女誘拐殺人事件」としてとらえ、真犯人「ルパン」に迫るルポだ。すでにテレビ報道を見たり雑誌記事を読んだりして、この事件の概要を知っている人も多いだろう。だが、一つの物語としてまとめて読むべきである。 なぜなら、事件の大きさはもちろんのこと、ジャーナリズムが来担うべき機能について考えさせられるからだ。著者は事件の全容を描きつつ、自分自身が

    『殺人犯はそこにいる』「真犯人」の存在を明らかにした "調査報道のバイブル" 文庫解説 by 牧野 洋 - HONZ
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    kilminwq 2016/05/28
    『殺人犯はそこにいる』「真犯人」の存在を明らかにした "調査報道のバイブル" 文庫解説 by 牧野 洋 - HONZ
  • 新しい環境保全の教科書『「奇跡の自然」の守りかた』 - HONZ

    東京、品川駅から電車で1時間半、終点の三崎口駅から歩いて30分。小網代は、都心からおよそ60キロの三浦半島にある自然の楽園だ。コンクリートで固められていく首都圏にありながら自然がまるごと残っており、しかも、誰でも歩ける身近な場所として大人気だ。なぜそんな「奇跡」が起きているのだろう? 「奇跡の森」。首都圏でも可能な環境保全の好例として、そう評される小網代の森だが、そこに長年かかわってきたふたりが、書の書き手だ。一般の人が気軽に入れるようになるまでの丁寧な保全の経緯と、実際に私たちが出かけた際の森の見所をまとめている。 そのふたりとは、進化生態学を長年研究されてきた岸由二さんと、普段は出版社で編集や広告業務に携わる柳瀬博一さんだ。岸さんの名前を初めて知ったのは、大ベストセラーとなった『利己的な遺伝子』(リチャード・ドーキンス著)の翻訳だったように思う。ほかにも『人間の性について』(エドワ

    新しい環境保全の教科書『「奇跡の自然」の守りかた』 - HONZ
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    kilminwq 2016/05/13
    新しい環境保全の教科書『「奇跡の自然」の守りかた』 - HONZ: 「奇跡の自然」の守りかた: 三浦半島・小網代の谷から (ちくまプリマー新書) 作者:岸 由二 出版社:筑摩書房…
  • お金の何が、世界を"動かして"いるのだろう?──『貨幣の「新」世界史――ハンムラビ法典からビットコインまで』 - HONZ

    お金の何が、世界を”動かして”いるのだろう?──『貨幣の「新」世界史――ハンムラビ法典からビットコインまで』 貨幣の歴史について語ったは数多い。 それだけに「新」といえるほどの新機軸を打ち出せるものかと思っていたのだが、書は貨幣の定義を通常よりも拡張し『そこで私は、お金は価値のシンボルだという定義にたどり着いた。』としてみせることで、より広い視点、それも生物学、宗教、脳科学と一見貨幣とはあまり関係なさそうな分野まで内包し、様々な角度から光を当てた貨幣史を語ることを可能にしてみせた。 貨幣史というよりは、貨幣を通した人類史──といったほうが正確かもしれない。貨幣を使いみちのみで考えると「価値のあるモノやサービスと交換する」ために存在している。が、お金が手に入ると期待をした時に脳にはどんな影響が起こっているのか──と問いかけてみれば脳科学と繋がりうるし、宗教の教えにはお金や富についての言及

    お金の何が、世界を"動かして"いるのだろう?──『貨幣の「新」世界史――ハンムラビ法典からビットコインまで』 - HONZ
    kilminwq
    kilminwq 2016/05/05
    お金の何が、世界を"動かして"いるのだろう?──『貨幣の「新」世界史――ハンムラビ法典からビットコインまで』 - HONZ: 貨幣の「新」世界史――ハンムラビ法典からビットコインまで…
  • 『自衛隊の闇 護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺事件の真実を追って』 - HONZ

    もしも、自らが所属する組織の不正を知ったら、あなたは、その不正を正す勇気を持てるだろうか? 幹部自衛官でありながら、自衛隊組織の不正を、正々堂々と通報した男がいる。彼の階級は、3等海佐(以下、3佐)。「自衛隊は噓をついている」と裁判所に訴えたのだ。 2014年4月23日、東京高等裁判所。21歳の自衛官・Tさんの”いじめ自殺”を巡る裁判の控訴審判決が下された。国に約7300万円の賠償命令。一審の440万円を大幅に上回る遺族側の逆転勝訴判決だった。 この控訴審判決に重大な影響を与えたのが、3佐の存在だ。 そもそも3佐は、一審のときに自衛隊側の弁護士役に当たる指定代理人を務めた人物である。 裁判の経過の中で、自衛隊側は、Tさんが自殺した直後に隊員たちに実施した「直筆アンケート」を「破棄した」と主張し続けていた。しかし3佐は、破棄されたはずのアンケートを目撃してしまった。 「これは一体、どういうこ

    『自衛隊の闇 護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺事件の真実を追って』 - HONZ
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    kilminwq 2016/05/04
    『自衛隊の闇 護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺事件の真実を追って』 - HONZ: 自衛隊の闇 護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺事件の真実を追って 作者:大島 千佳 出版社:河出書房新社…
  • 『兵士は戦場で何を見たのか』破壊される男たち - HONZ

    2007年、カンザスのフォート・ライリーを拠点にしていた第16連隊第2大隊は、念願のイラク派兵に臨むことになった。指揮官のカウズラリッチ中佐は40歳の勇猛な男で、特殊部隊の兵士としてアフガニスタンでの従軍経験もある。しかしイラク進攻作戦では、彼の大隊は留守番組であった。 士官学校を卒業した多くの士官がペンタゴンで働くことを夢みる。だがカウズラリッチはそれを望まない。軍内部の政治を敬遠し前線で戦うことを常に求める。「兵士の中の兵士」「彼について行けば地獄の底からでも戻ってこられる(後略)」と部下に呼ばれるような気質の男だという。また彼は陸軍に入隊してから今まで、一人の部下も死なせたことがないという経歴の持主でもあった。書はピュリツァー賞経歴を持つジャーナリスト、デイヴィッド・フィンケルが派兵される第2大隊に同行し、兵士たちがどのように崩壊していくかを丹念に取材した従軍記である。 カウズラリ

    『兵士は戦場で何を見たのか』破壊される男たち - HONZ
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    kilminwq 2016/03/18
    『兵士は戦場で何を見たのか』破壊される男たち - HONZ: 兵士は戦場で何を見たのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-7) 作者:デイヴィッド・フィンケル…
  • 『地球を「売り物」にする人たち 異常気象がもたらす不都合な「現実」』 - HONZ

    書は、アメリカのジャーナリスト、マッケンジー・ファンクが6年の月日をかけ、24か国とアメリカの十数州を回って書きあげた力作ルポルタージュ、『Windfall』の全訳だ。 巻頭のカラー写真を見るだけでも、著者の取材がいかに多岐広範に及ぶかがうかがわれよう。書は気候変動(地球温暖化)を取りあげるが、それ自体が主役ではない。気候変動が起こっているという確信が深まれば、それを阻止する格的努力がなされるという考え方は、どうやら幻想にすぎなかったようで、人類は気候変動を早急に止めそうにない。 それでは私たちはいったい何をしているのか――それを探り、その過程で人間の性をあぶり出すことこそが、書の主眼であり、その結果は図らずも、自己保存と目先の利益を追い求める、「共有地の悲劇」と、いわゆる「現在志向バイアス」の物語となった。

    『地球を「売り物」にする人たち 異常気象がもたらす不都合な「現実」』 - HONZ
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    kilminwq 2016/03/11
    『地球を「売り物」にする人たち 異常気象がもたらす不都合な「現実」』 - HONZ: 地球を「売り物」にする人たち――異常気象がもたらす不都合な「現実」 作者:マッケンジー・ファンク…
  • 『マーケット進化論』不完全さと向き合った人々の物語 - HONZ

    律令制の時代から昭和初期にかけて、市場経済が形成され、洗練されていくプロセスが書かれた1冊だ。要所を辿りながら、1200年以上の時間を一気に駆け抜ける。まんべんなく触れるのは難しいので、時代を絞って紹介していきたい。 著者によれば、戦国時代は日経済史のなかでも特殊な局面であるという。全国レベルで資源配分を管理する存在もいなければ、全国一律の基準で市場経済を見守ることのできる存在もいない。この環境は、領国支配における様々な問題が生まれる要因となった。 支配が及ぶのは領国内に限られるため、領国外の商工業者を誘致しなくては必要な物資を賄えない。だが、彼らはもともと同業者組合である座に属し、戦国大名の意向ではなく座のルール(座中法度)に則ってそれぞれビジネスを行う存在であった。そうした問題に対する解決策として、楽市楽座などの優遇策が実施される。文中で引用されているグラフには、1550~1580

    『マーケット進化論』不完全さと向き合った人々の物語 - HONZ
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    kilminwq 2016/03/10
    『マーケット進化論』不完全さと向き合った人々の物語 - HONZ: マーケット進化論 経済が解き明かす日本の歴史 作者:横山 和輝 出版社:日本評論社 発売日:2016-01-20…