東京電力福島第一原発の事故処理で高線量の被ばくを伴う作業が続いている。被ばくによる労災も現実となり、壁が厚い補償認定の見直しが必要だ。廃炉への道は作業員の安全が守られてこそある。 廃炉に向けた過酷な作業が続く現場では、過密な労働環境で事故が相次いでいる。二〇一三年度に三十二件だった死亡・負傷は一四年度には六十四件に倍増した。 各地で原発再稼働を進める政府はさらに、重大事故時に許容される作業員の緊急被ばく限度を、現行の年一〇〇ミリシーベルトから二五〇ミリシーベルトに引き上げようとしている。作業員にさらなる被ばくを強要するのは命の軽視ではないか。 原発労働者の安全対策や補償は不十分だ。がんを発症しても労災認定の壁は厚い。厚生労働省が胃、食道、結腸がんについて、事故翌年の一二年に公表した労災補償の考え方では、がん発症との関連がうかがわれるのは「被ばく線量は一〇〇ミリシーベルト以上」「被ばくから発