労災による死亡と認定された外国人技能実習生が二〇一四~一六年度の三年間で計二十二人に上ることが十四日、厚生労働省のまとめで分かった。大半が事故とみられるが過労死も一人いた。政府統計で実習生の労災死の実態が明らかになったのは初。労災保険の給付対象となる休業四日以上の労災件数は三年間の平均で年四百七十五件だった。 実習生は職種が限られており、労災死比率が日本の雇用者全体の労災死比率を大きく上回っている。実習の名の下に日本人より危険で過酷な労働を負担している現実が示された。
検察審査会への申し立てについてコメントを発表する高橋まつりさんの母の幸美さん=25日午後、東京・霞が関の厚労省で 電通の違法残業事件で、過労自殺した高橋まつりさん=当時(24)=の母幸美さん(55)が二十五日、厚生労働省で記者会見し、労働基準法違反容疑で書類送検された元上司を東京地検が不起訴(起訴猶予)処分としたのを不服として、東京検察審査会に審査を申し立てたことを明らかにした。申し立ては昨年十二月二十七日付。 申立書によると、元上司は高橋さんら部下に、長時間労働や深夜労働をした場合、「社内飲食をしていた」と虚偽の記載をして会社に報告するよう指示、残業時間が労使協定の範囲内に収まるように過少申告させていた。また、「君の残業時間の二十時間は会社にとって無駄」「女子力がない」とパワハラやセクハラもしたという。
住居が無くインターネットカフェなどに泊まる「ネットカフェ難民」が東京都内で一日当たり約四千人に上るとみられることが二十九日、都が初めて実施した実態調査で分かった。そのうち七割超の約三千人が派遣労働者など不安定な働き方をしていると推定された。 都は二〇一六年十一月~一七年一月、都内の二十四時間営業のネットカフェや漫画喫茶など全五百二店を対象に、店側と利用者のアンケートを実施。二百二十二店から回答があった。 オールナイトの利用者九百四十六人に理由を尋ねたところ「旅行・出張中の宿泊」が37・1%と最多で、「住居が無く、寝泊まりするため」の25・8%が続いた。他は「遊び・仕事で遅くなった」13・1%、「家に帰りたくない事情がある」5・9%など。都は回答した店の平均宿泊者数などから、平日に泊まる人は都内で一万五千三百人と推計し、うち住居の無い人は約四千人と算出した。
ホンダの子会社「ホンダカーズ千葉」(本社・千葉市中央区)の自動車販売店の男性店長=当時(48)=がうつ病になり二〇一六年十二月に自殺したのは、長時間労働などが原因として、遺族が同社に約一億三千五百万円の損害賠償を求めた訴訟は十七日、千葉地裁(小浜浩庸裁判長)で和解が成立した。同社が自殺の原因は過労と認めて謝罪し、解決金を支払う。金額は非公表。 原告側の代理人弁護士によると、男性は、会社から部下の残業を減らすよう指示され、残業を肩代わりするなどして長時間労働を続けたとされる。千葉労働基準監督署は一七年六月、「十分な休息も取れなかった様子が推認できる」などとして労災認定していた。和解条項では、懲戒解雇の無効と安全配慮義務違反を認めた。 男性は一五年三月、千葉市に開店した販売店の店長に就任。同年六月に失踪し約二カ月後にうつ病と診断され、無断欠勤を理由に懲戒解雇になった。一六年十二月に自宅で自殺し
神奈川県立がんセンター(横浜市旭区)でパワハラに対する対応の不満などを理由に、放射線治療科に六人いた医師のうち三人が辞めた上、二人が退職の意向を示し、同科の新規患者受け入れを昨年十二月十五日から停止していたことが分かった。県は別の病院の医師を確保するなどして二月から受け入れを再開するとしているが、一部の医師の契約は三月までのため、四月以降の治療体制は未定という。 同科には、通常の放射線よりも重い粒子をがん病巣に照射し、より高い効果が期待できるとされる「重粒子線治療施設」が併設されている。同様の施設は他に全国に四カ所しかなく、問題が長引けばこの治療を受けられなくなる患者が続出する恐れがある。 二十四日に記者会見した県によると、同科のベテラン医師が昨年夏、異動を命じられたのを不服として退職。この人事に加え、病院を運営する独立行政法人「県立病院機構」が科内で発生したパワハラに対して取った対応に他
県の包括外部監査人(品田和之公認会計士)は五日、本年度の県立学校の業務を調べたところ教員の労働時間把握や勤怠管理が不十分で、外国語指導助手(ALT)の雇用方法も変更すべきだなどとする報告書を発表した。県教育委員会は二〇一八年度中に改善の方針を公表する。 報告書は、県教委が実施している労働時間に関するアンケートの記入も教員の負担になる上、自己申告では正確に分からないと指摘。情報通信技術(ICT)やタイムカードなどで客観的に把握し、集計するシステムを構築する必要があるとの意見を付けた。 また、抽出調査した十三校のうち五校が、業務時間外の教職員の出入りをチェックする「時間外登下校簿」を作成していなかった。報告書は「服務規定に違反し、労務管理、安全確保の観点からも適切ではない」とした。
東京電力福島第一原発事故に伴う福島県飯舘村の除染現場で、防水用の内袋を閉めていない手抜き除染袋(フレコンバッグ)が大量に見つかった問題で、同様の手抜きフレコンが村の他の現場や、福島県内の別の自治体でも発生していることが、本紙の調査や元作業員らの証言で分かった。一部では汚染された疑いのある雨水が外に漏れているのを確認。早期の帰還を願う住民や現場の作業員にとって高い安全性が求められる除染事業が揺れている。 (坪井千隼) 本紙は昨年十月末~十二月、国発注の除染事業で現在もフレコンが置かれている福島県内の七市町村、計二十カ所の仮置き場や除染現場を調査。敷地外から作業状況や袋の状態をチェックするなどした。 うち南相馬市の「希望の牧場・ふくしま」で十月二十八日、牧場管理者の了解を得て、汚染土壌などが入った百袋の外袋を開けると、三十二袋は内袋が閉まっておらず中身が露出。ほとんどが内部に雨水がたまり、汚染
東京電力福島第一原発事故以降、福島県飯舘村で実施された除染事業で二〇一五年十月、汚染土壌を詰めた二重構造の除染袋(フレコンバッグ)のうち、防水機能のある内袋が閉められていないものが千袋、見つかっていた。雨水などが浸入し、汚染水として漏れる恐れがある状態。扱った特定業者のみの手抜きとされ、千袋を詰め直したが、当時の作業員は手抜きは他業者もやっていたと証言した。未発見の手抜きフレコンが今も大量に放置されている可能性がある。 (坪井千隼、小沢慧一) 問題の除染事業は環境省が発注し、大手ゼネコン大成建設などの共同事業体(JV)が受注。一五年一月から一七年三月まで飯舘村で行われた。関係者の内部資料によると、一五年十月、飯舘村比曽地区の除染現場で出たフレコンを地区内の仮置き場に搬送中、一部のフレコンから水がにじみ出ているのが見つかった。 調べたところ、内袋が閉まっていなかった。黒い外袋は水を通すため、
今月指針が決まった外国人の農業労働を国家戦略特区で解禁する新制度に関し、活用を目指す自治体が全国で少なくとも十一地域に上ることが二十九日、本紙の調べで分かった。現行で外国人受け入れの窓口となる技能実習制度は国際協力を名目とするが、新制度は農家での労働力の確保を目的とする。人手不足対策として各地で期待が高まるが、技能実習生が失踪するケースが増加しているほか、新制度で派遣労働の形態を導入することについての懸念も専門家から出ている。(矢野修平、写真も) 政府は、特区の規制緩和項目に外国人の農業就労を追加し、今月十五日に実施の指針をまとめた。既に別の事業で特区指定を受ける愛知県と沖縄県は、来年中の利用を目指している。 これに加え、関東では茨城県、群馬県が農業での外国人活用を盛り込む特区提案を政府に提出した。ほかに長野県、鹿児島県など農業が盛んな県や、市町村でも秋田県大潟村や鳥取県境港市などが特区指
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