図書館,資料館等が所蔵するさまざまな文化資源(図書,博物資料)のデジタルアーカイブ化は,多くの機関で進展を見せている。今後はデータの蓄積から各機関による積極的な情報発信の手段として活用されなくてはならない。アーカイブが原本代替資料として高度な情報を提供することが,あらたな研究の進展をうむと同時に,原本の利用を抑えることによる資料保存の効果も高い。デジタルアーカイブの現状と今後の課題,展望について早稲田大学図書館が企画・運営する「古典籍総合データベース」の事例をもとに考察を加える。
沖縄県は,戦後から本土復帰前までの米軍統治下における琉球政府時代(1952年-1972年)の公文書約16万簿冊のデジタル化を平成25年度より進めており,デジタル化した資料画像をインターネット公開する事業を進めている。膨大な量の近現代公文書をデジタル化し,デジタル・アーカイブズシステムによりインターネットで公開する事例は日本国内で類を見ない。近現代の歴史資料のネット公開における課題は,個人情報や著作物等が含まれる資料をどのように取り扱うかという点であり,資料年度が新しい近現代の資料であるからこそその特徴は顕著に表れる。本稿では,平成27年度の資料公開で直面した課題整理とその対応方針,及び平成28年度の展望について記述する。
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