国内の科学者の代表機関である日本学術会議は、東京電力福島第一原発事故に伴う子どもの被曝(ひばく)線量が、旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発事故より「はるかに低い」などとする報告書を公表した。そのうえで、健康影響の不安に対し、きめ細かなコミュニケーションの必要性を訴えた。 日本学術会議の放射線防護・リスクマネジメント分科会は、国際機関の報告書や国内外の学術論文などを整理。第一原発事故による子ども(胎児と0~18歳)への放射線の影響などを分析し、その結果を報告書にまとめて1日に公表した。 報告書は、第一原発事故による放射性物質の総放出量について、日本政府の情報などから、チェルノブイリ原発事故の約7分の1だったと指摘。また、県民健康調査では比較的、被曝線量が高いと予測された地域の約1万人の約95%が5ミリシーベルト未満で「ベラルーシやウクライナの避難者集団の平均と比べるとはるかに低い」と強調した。