「戦後の街に活気と希望を与えてくれた」「ファーストキスの目撃者」―。小田原城址(じょうし)公園内の小田原動物園で9月17日、大往生したアジアゾウ「ウメ子」にあてたメッセージカードが4600通を超えた。「ありがとう」。お礼に添えられた言葉の数々は、60年にわたって「小田原城のシンボル」として愛されたウメ子の生涯を物語る。62歳、人間であれば100歳だったウメ子。「ゆっくり休んでね」 「昭和25(1950)年、あなたは3歳でしたね。60年間、よく会いに来ました」。タイから城下町にやって来て以来のファンは少なくない。「戦争が終わった貧しい街に活気と希望を与えてくれた」と思い出を寄せた人は「69歳」。 「夫を亡くしたとき、友人にウメ子を紹介してもらいました。そのときの写真は夫とともに飾っています」。ウメ子の無言の励ましを、この女性は「ゾウは仏の使いと言います」と表現していた。「82歳の男(性)