都市のにぎわいの陰で「震災遺構」の一つが姿を消す。福岡市・天神の福岡ビル(通称・福ビル)である。市の再開発事業に合わせ、解体工事が来月にも始まる。 天神の顔でもある福ビルは、2005年3月20日午前10時53分に起きた福岡沖地震で、外観を彩る窓ガラスが砕け散った。本紙記録集によると444枚が割れ、290枚が落下した。 日曜の午前中だったこともあってか、ビル直下で負傷者が出なかったことが奇跡的だった。 ガラスが飛び散る映像はテレビニュースで何度も流された。マグニチュード(M)7、最大震度6弱を記録した地震被害を象徴する建物だった。5年後に建て替わるという。 あの日から14年が過ぎる。その年に生まれた子どもの多くは、来年には高校に進学する年齢だ。地震の恐ろしさはきちんと伝承されているだろうか。 その後、東日本大震災や熊本地震、北海道地震が発生した。今年初めには熊本県和水(なごみ)町で、「福岡沖