「さおりちゃん、縄跳びしたいから100円ください」そう言いながら私の実家に汗だくの深瀬が現れたのは5年くらい前のことだ。「運動したいの?」「うん」「100円ないの?」「うん」私たちはclubEARTHを立ち上げた頃、バイト代が入れば片っ端から木材や機材を買っていたので、とても貧乏だった。友達がペットボトルを買っているのを見て「けっ、金持ちは良いよな」と嫌みを言ってしまうくらい貧乏だった。clubEARTHは大赤字を叩きだした。家賃や光熱費の他に、莫大な工事費と機材費。アルバイト代を全てそれらに当てても足りなくて、コワーイ人から電話がかかってきたこともあった。毎日グラム29円の鶏肉を食べ、電車代を節約する為にどこへでも自転車を走らせ、朝から晩まで音楽のことを考えて、たまに安いお酒で乾杯をした。大赤字だったけれど、楽しくて楽しくて仕方がない毎日だった。-----デビューして3年目に突入した今も