放射線を使った次世代のがん治療法「ホウ素中性子捕捉療法」(BNCT※)で、喉頭がんや舌がんといった「頭(とう)頸(けい)部がん」に対する世界初の治験(臨床試験)が、川崎医科大(岡山県倉敷市)と京都大原子炉実験所(大阪府熊取町)で始まった。 この療法は、がん細胞を狙い撃ちするため、従来の放射線治療に比べて副作用が少ないとされる。早ければ5年程度で薬事法上の承認を受け、実用化したい考えだ。 点滴でがん細胞にホウ素を取り込ませ、弱い中性子線を当てると、ホウ素が崩壊して放射線を発し、がんを内側から破壊する仕組みだ。放射線は細胞一つ分程度しか広がらず、正常な細胞は傷つけにくいため、副作用が少ないと期待される。 頭頸部がんは、手術で切除すると会話や食事に支障が出ることもあり、患者は放射線治療を選ぶことが多い。ただ、従来の方法では正常な細胞も傷つけてしまい、皮膚がただれるなどの副作用が懸念されている。B