それは、カネの流れを変えるはずだった。一方的に価格を設定し、暴利をむさぼり、著作者たちを囲い込み、契約で縛り、他人の著作物を我が物として扱い、それをネタにカネを儲け、重役たちに高給を出している大手企業に入っていくカネの流れを変えるはずだった。少なくとも、語られていた「革命」はそういうことだった。しかし実際には、カネの流れを止めてしまった。行き先が大手であれインディであれ、録音された音楽にカネを出す人は激減してしまったのだ――読後、そのことを改めて思った。 The Pirate Bayが挑発的な態度で注目を集め、Kim Dotcomがその巨体に匹敵するような富を蓄えているとわかったあのとき、何が起きていたのか。 スティーヴン・ウィットの『誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち』(関美和訳)は、膨大な文書を調べ、何十人もの人に話を聞き、5年近くの歳月(「あとがき」による)をかけてま