6月10日に予定されていた一橋大での百田尚樹さんの講演会が中止になった騒動については、私が一橋大の卒業生だということもあって関心を持って調べており、21日に行われた同大の学内集会にも参加した。そしてその帰路、27日に予定されていた香山リカさんの講演会が中止になったとのニュースに接した。 ふたつの中止事件が関連していることは明らかだ。しかも、これを放置しておくと深刻な事態に陥りかねないことを予感させる。ここできちんと社会的議論を起こさないと言論をめぐる危ない状況が一気に広がる恐れがあると思う。 私が編集している月刊『創』は、差別表現やコミック規制問題など「言論と規制」をめぐる事件をたびたび取り上げてきただけでなく、例えば映画『靖国』『ザ・コーヴ』などの上映中止事件をめぐって公開討論や自主上映を行うなど、積極的にコミットもしてきた。 その中で感じるのは、この10年ほど、講演会や集会に会場を提供