真夜中の、静かな散歩。 大学1年生の夏休みに友達の家にお泊まりした。高校のときに仲良かった男女グループのみんなで。 その日の夜中、誰が言い出したのか散歩をすることになった。夜寝るのがもったいなかったのかもしれない。 どこまでも続いていきそうな時間。ずっとつづいていきそうな田舎道。 はじめて歩く道だった。電灯もあまりない。人気がなくどこまでも静かな道を、ただただひたすら歩いた。 この時間が、止まってくれれば良いのに。そう思った。 『静かな田舎の、静かな夜の、何もない静かな道をただ歩いていく。』 ただ歩くだけの僕たちは、他の何者にもなりようがなかった。同じゲームをする僕たちでもなく、同じ飲食店でご飯を食べる僕たちでもない。共通の趣味とかそういうのも関係がない。あるのは、僕たちという存在だけ。生み出される会話は、僕たちのありのままだけ。 「今がきっと、青春なんだ」そんな風に思った。 夏という季節