クリスマスについて最初の記憶は未だ幼稚園に行く前、恐らく3~4歳の頃だと思う。ある日の午後、家の垣根の向こうに父方の叔父がひょっこり顔を出し笑顔を見せる。玄関の扉を開くと手にデコレーションケーキが入った白い箱を持っていた。 当時ケーキなど滅多に口にする物では無く、ましてや白くて大きな円筒形の上にチョコレートやビスケットで出来た飾りが乗っているなど、殆ど夢のような菓子であった。たとえそれがバタークリームで出来ていたとしても、そもそも生クリームの存在など知る由も無かった時代の話である。 クリスマスについて書かれた物語として世界で最も有名なのは、1843年に出版されたディケンズの「クリスマス・キャロル」をおいて他にはないだろう。守銭奴のユダヤ商人「スクルージ」が精霊達の導きに由って改心し、遂には「ロンドンで一番クリスマスの楽しみ方を知っている」と言われるようになる迄を描いている。 シェイクスピア