空気と人類 ―いかに〈気体〉を発見し、手なずけてきたか 作者:サム・キーン発売日: 2020/12/17メディア: 単行本この『空気と人類』は、『スプーンと元素周期表』など様々な化学/科学系のトピックスを扱ってきた作家サム・キーンによる、気体についてのノンフィクションである。一緒にいるのがあたり前の相手を「空気のような存在」というぐらいには身近なものだが、その性質、歴史、役割に注意を払う人は多くはないのではないか。 カエサルの最後の息を一日に何回吸い込んでいるのか? 本書の原題は『Caesar's Last Breath』という一風変わったもので、最初の話題は「我々は一日に何回カエサルの息を吸い込んでいるのか?」という問いかけから始まる。カエサルは有名な逸話の中で、自身が裏切られ殺された場に、寵愛していた相手ブルータスがいたことから、「息子よ、お前もか?」と問いかけたという。 そんな台詞は