■エレクトリック・ステイト/シモン・ストーレンハーグ 1997年、無人機ドローンによる戦争で荒廃し、ニューロキャスターで接続された人びとの脳間意識によって未知なる段階に到達した世界が広がるアメリカ。10代の少女ミシェルと、おもちゃの黄色いロボット「スキップ」は、サンフランシスコ記念市の北、ポイント・リンデンのある家を目指し、西へとドライブする。 アメリカの広大な原野と峡谷、そしてそれを切り裂く州間道路、その合間合間に点在する町々、モテル、電信柱。アメリカのどこの土地にでも遍在するこれら日常的な風景の中に、圧倒的なまでの非現実感を持って威容を見せる巨大で厳めしい謎の建造物、その建造物から触手の様に延びる無数のケーブル、そして二足歩行する畸形生物を思わせる巨大ドローン。さらによく目を凝らすと、地面にはヘッドアップディスプレイを被った無数の人々がゾンビの様に彷徨っている。 スウェーデン、ストック