例のマスクが届いた。 小学生の僕でもわかる。 今更感。 だって、配送が遅すぎるからマスクは、みんな自分で手に入れた。 「父さん。このマスクって、必要な人に渡してもいい?」とお兄ちゃんが言う。 「あぁ、いいよ。うちはマスクが足りているからね。」とお父さん。 流石だな。お兄ちゃん。僕は感心する。 「で、どこに送るんだ?」とお父さん。 「最終的に、テレビにいつもこのマスクをしている人に送ろうと思って。」とお兄ちゃん。 はぁ?それって……。 「また、何で?必要としている人たちは他にもいただろう?」とお父さん。 「うん。ちらほら見つけたよ。でもね…」とお兄ちゃんは続けた。 「毎日、付けているんだよ。4月のはじめからずっと。他の人たちは、手作りマスクも付けたりしているのに彼だけはあのマスク。巷の噂じゃ、あのマスクは何回か洗ったら縮むって言うじゃん。毎日付けている彼が、一番必要なんじゃないのかな?それに