日銀の白川方明総裁は12日、金融政策決定会合後の記者会見で「中長期的な電力不足などによる生産の海外シフトは、日本の潜在成長率低下を引き起こす」などと述べ、原発停止と再稼働の遅れで電力不足が長期化することに強い懸念を表明した。 決定会合では、震災からの復旧・復興で生産活動などが持ち直していることから、景気の現状判断を「供給面の制約が和らぐ中で、持ち直している」と2カ月連続で引き上げた。ただ、「電力の供給制約で不確実性が増している」と電力不足が回復の足かせになる可能性を指摘。政策金利(無担保コール翌日物)は現行の0~0.1%程度に据え置き、実質ゼロ金利政策を継続することを決めた。 今回の会合では、震災直後の経済の落ち込みを反映し、11年度の国内総生産(GDP)の実質成長率見通しは4月段階の0.6%から0.4%へ下方修正した。その一方で、12年度の見通しは4月段階の2.9%に据え置いた。【谷川貴