調査研究本部主任研究員 宮明 敬 ポーランドで昨年末に公開された映画「結末」が、社会に大きな波紋を広げている。 長くタブーとされた「ポーランド人によるユダヤ人虐殺」を正面から取り上げたからだ。 この虐殺事件は、第2次大戦中の1941年夏、ソ連占領下だったポーランド北東部にドイツ軍が侵攻、占領した直後に起きた。イェドバブネやラジウフなど約30か村で、ユダヤ人の村人がカトリック教徒の隣人たちに集団虐殺された。旧支配者であるソ連軍とユダヤ人住民との比較的良好な関係が、事件の誘因の一つだったとも言われる。 国民の多くは激しい拒絶反応 映画を制作したのは、主にスリラーなどを手がけてきたポーランド人監督で、日本では無名に近いヴワディスワフ・パシコフスキ氏。この同胞による過去の告発に、インテリや若者の一部はその勇気を称賛したが、ポーランド国民の多くは激しい拒絶反応を示した。 ニュース週刊誌「ヴプロスト」