理由は単純明快。法人のほうが諸経費や保険など売り上げから引かれる金額が多いからだ。地域や企業により多少の誤差はあるが、法人の場合は売り上げの55~60%がドライバーの収入となる。これに対して、個人の場合は60~70%程度が自身の懐に入ってくる金額だ。 時間的な縛りがない個人と比べ、法人ドライバーは決められた勤務時間の中で売り上げを上げる必要が生じる。つまり、法人のトップドライバーは効率性を突き詰め、1日当たりの乗車回数を伸ばすことに注力しているわけだ。 同じ年収でも、個人と法人だとその意味合いやハードルも大きく異なるともいえるだろう。これまでの取材経験を基にいえば、法人で1000万円を超えるドライバーは東京の「なか」(中央区・港区・千代田区)を拠点とする、ほんの一部のドライバーしかいない。 待ち合わせ場所の東京・田無の喫茶店に現れた中山さん(仮名・50代)は、業界大手のタクシー会社に勤める