日本語の辞書の「嗜好品」の説明から「タバコ」が削除されつつある。タバコは果たして「嗜好品」なのだろうか。でなければ、いったい何なのだろうか。 同じ出版社でも違いがある「嗜好品」の説明 日本語に「嗜好品」という言葉がある。小説家でもあり医師でもあった森鴎外(森林太郎)が使った言葉だそうだが、他の言語に同じような意味を持つ言葉は少ないという(※1)。また、森鴎外より古い明治時代から「嗜好品」や「嗜好物」という言葉は使われていたようだ(※2)。 言葉は時代の流れの中で、その意味が変化することがある。この「嗜好品」という言葉も、辞書で調べてみると興味深いことがわかる。 例えば、岩波書店の『広辞苑』の第四版(1991)の「嗜好品」の説明には「栄養摂取を目的とせず、香味や刺激を得るための飲食物。酒・茶・コーヒー・タバコの類」とあるが、同第七版(2018)の「嗜好品」の説明から「タバコ」の単語が削除され