カンボジアにあるシェムリアップは、日本でいうと昭和初期の田舎のような素朴な町である。市内では、1つしかない信号機以外に妨げるモノがない道路を、多数の3人乗りのオートバイが走り去っていき、夕方になると、暗闇の空を大量のコウモリが飛び回るという、のどかな場所だった。 今、ここシェムリアップは、ホテル建設ラッシュと道路建設ラッシュに沸いている。この村の近くにあるアンコールワットをはじめとする遺跡群を訪れる、激増中の観光客を吸収するためだ。アンコールワットやアンコールトムは、世界遺産として素晴らしい場所であるのは確かで、一見の価値はある。ただバブルの崩壊の経験がまださめやらぬ私としては、この建築ラッシュはなんとなく釈然としない。 一般的に情報システムは、ベンダとの協力の下で、相当のお金をかけながら開発するものだ。どのくらいの投資をしているかというと、業種によって差はあるが、年間売上高の数パーセント