日本の現代建築として最も特徴的な建物の一つである「中銀カプセルタワービル」。その解体が、ついにはじまることになった。 建築家・黒川紀章が設計し、1972年に建設された「メタボリズム(建築を生命体のように新陳代謝させる建築運動)建築」の代表格。銀座8丁目の好立地に建てられたあまりに印象的な建物は、まさに20世紀の日本を代表する存在として、国際的に認知されてきた。 この建物は一体、どのような歴史を歩んできたのか。ここに当時の記事を再公開する(初出:2021年6月19日。年齢、肩書等は当時のまま)。 ◆◆◆ 「東京の住まい」と聞いて、真っ先に思い浮かぶのが手狭なワンルームである。東京の住宅難は江戸開府以来の難題で、都会に満足いく住空間を持つことは難しい。昨今では林立するタワーマンションが都市の輪郭を天へと押し上げているが、修繕問題やエレベーターの待ち時間、気圧差による体調不良など、高くて困るのは