→紀伊國屋書店で購入 「理想の住宅地のなれの果てを歩き回った記録」 本書は、消費社会研究家の三浦展氏が、東京西郊のいわゆる高級住宅地について、いくつもの文献を参照しながらその成立の経緯を辿るとともに、実際に歩き回った記録に基づいてその現状を記したものである。歴史的なものだけでなく、実際の住宅の写真も含め、資料もふんだんで、大変興味深く読み進めることができる一冊となっている。 田園調布に成城といった、誰もが憧れる東京の二大高級住宅地に始まる各章を読み進めていくと、不思議なことに「憧れ」や「欲望が焚きつけられるような感じ」ではなく、むしろ一抹のさみしさが読後感として生ずることになる。 むろん、これらの住宅地が現在でも一定の人気を博していることは事実である。だが、かつてこれらが急速に成立した時期における人々の熱望や、あるいはそれを今に伝える当時の住宅は姿を消しつつある。場合によっては、広い宅地は