→紀伊國屋ウェブストアで購入 谷口克広氏は『織田信長合戦全録』や『信長と消えた家臣たち』、『織田信長家臣人名辞典』など、信長関係のレファレンス本を精力的に執筆してきた人である。本欄でも『検証 本能寺の変』をとりあげたことがある。 谷口氏の本は信長の家臣団や合戦など、特定分野の情報をバランスよくまとめてくれるので重宝してきたが、『信長の政略』も期待通りで、安心して読める。 本書は「序章」で信長の天下取りのプロセスを概観した後、「第一部 周囲に対する政略」、「第二部 統一戦争へ向けた政略」、「第三部 民衆統治に関する政略」と三部にわけて記述している。 「第一部 周囲に対する政略」では「外交と縁組政策」、「室町幕府」、「朝廷」、「宗教勢力」という四つの章を立てているが、それぞれについて学説の変遷を簡潔に紹介するところからはじめているのはありがたい。 対朝廷政策については幕末の勤王思想家は信長を勤