野田首相の国連外交デビューがすっかり霞んでしまったのは、仕方ないだろう。パレスチナのアッバース議長による国連加盟申請の演説が世界の耳目を集めたあとでは、どんな話題も二の次になる。 オバマ米大統領が拒否権発動を明確にし、イスラエルがアフリカなどから申請反対票をかき集めようとしている状況で、アッバースがいくら感動的な演説をしても国連加盟の実現性は低い。逆に、パレスチナ人たちに期待をもたせるだけ、その後の失望が暴動、抵抗運動の再激化につながるのでは、との懸念もある。 だが抵抗運動の兆しが見られるのは、国連加盟の可否を問題にしてではない。一部では「すでに第三次インティファーダは始まっている」と見る見方もある。棚上げされたままの和平交渉、「イスラームとの和解」とか「中東和平は大事」というわりに何も進まないオバマ政権の対応。ブッシュ時代に期待できなかったのは仕方ないとしても、オバマ政権でもだめか、とい