播磨地域の山間部を走るJR姫新線や播但線で、列車とシカの衝突事故が急増している。十年ほど前までは年に数件程度だったが、二〇〇八年度は十一月末までで姫新線五十六件、播但線百四十五件に上る。事故でダイヤが乱れるなど、鉄道関係者は頭を痛めるが、抜本的な対策がないのが現状だ。(古根川淳也) JR西日本姫路鉄道部によると、姫新線では十一月だけで八件の事故が発生した。大半は十分程度の遅れだが、過去には車体の下にシカが巻き込まれ、角を切って運び出すなど運行再開に一時間かかったこともあったという。 兵庫県森林動物研究センター(丹波市)によると、戦後の森林伐採などで荒廃していた山林が回復してきたことに伴い、シカの数が増加しているという。捕獲数も一九九七年度の約五千百頭が、二〇〇七年度は一万六千二百頭と十年で約三倍になった。森が豊かになった分、個体数が増えすぎて、餌を求めて人里に下りてくるシカが事故に遭ってい