最大の問題だと思うのは、天皇の国事行為に関する規定である。案5条が「天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、」として現4条1項の「国事に関する行為のみを」から「のみ」を削っているのは、案6条5項の新設と合わせ、いわゆる公的行為が認められることを明らかにしようとした趣旨であって、そう問題はない。現状を明文で承認した程度のことである(いや怒っている人たちはいるが)。 これに対し、国事行為に対して「内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。」としている現3条と、やはり天皇が「内閣の助言と承認により」行なう国事行為を列挙した現7条本文の当該部分を削り、案6条4項において「内閣の進言を必要とし、内閣がその責任を負う」としている点には注意が必要だろう。 同様に案54条1項として「衆議院の解散は、内閣総理大臣が決定する。」という条文が新設されており、これ自体は現行憲法上も通説判例により