先日、総合病院の内科医から「死にたいと言っている患者さんがいるので診て欲しい」というコンサルトを受けた。『主訴:希死念慮』と書かれた紹介状を持って来院したのは若い女性で、診察してみると、精神疾患の兆候が全然みられない。本人は「内科の先生に精神科を受診するよう言われました。本心から死にたいわけではないです」と当惑気味。リストカットや大量服薬の既往も無く、衝動コントロールもそれほど悪くない。仕事や私生活も順調のようだった。ただし、この女性は「死にたい」がほとんど口癖らしく、ちょっと厭世的で、ちょっと夢見がちな人物ではあるらしかった。 結局、「現時点では治療は不要。何かあるなら再受診を」ということになり、女性はそのまま帰宅した。当人は無駄足だと思っているかもしれないが、この件で内科医を非難するわけにもいかない。最近は、精神科医以外のドクターも精神疾患を見逃さないよう気を遣っているし、それで早期治