嵐が丘 (新潮文庫)作者: エミリー・ブロンテ, 鴻巣友季子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/06メディア: 文庫自分の心から人を憎む気持ちがなくなってしまえば、どんなにラクになれるだろうか。そんな風に考えたことは、数限りありません。特に自分の心をコントロールすることが難しかったティーンエイジャーの頃、あるいは濃密な人間関係を求めていた20代の頃、心を支配する誰かへの憎しみが自分を卑屈にし、不幸とはこのことかしらと歯ぎしりしたことは記憶にまだ新しいものです。憎しみの度合いは何で表現したらよいのか分からないけれど、自分には「色」と「粘り」がしっくりくるような気がします。さらさらした薄いグレーの憎しみもあれば、ドロドロとしたタールのような黒い憎しみだったこともある。その対象となる相手は、肉親だったり、異性だったり、また身近な同姓であったり、顔を知らぬ誰かであったり・・・。とにもかく