はじめに 本の雑誌社 杉江由次 2015年7月20日、リブロ池袋本店最後の日となるその日、私は「本の雑誌」の取材ユニット「おじさん三人組」のひとりとして、フロアマネージャーの矢部潤子さんに開店から閉店まで密着取材をしていました。最終日ということもあってお客さんはもちろん、たくさんの出版関係者が集まる中、矢部さんは旧交をあたためるわけでもなく、感傷に浸るでもなく、開店前には前日に売れて凸凹になった平台を積み直し、開店後は売り場を駆け回り本の補充に勤しんでおりました。 もう閉店するのだし、入荷する本もないんだからそんなことをしなくてもいいんじゃないかとも思ったのですが、それは矢部さんだけではありませんでした。リブロ池袋本店の書店員だれもが閉店の21時まで、本を補充し、棚整理をし続けていました。 書店員の仕事とはいったいなんなんだろうか──。最近はPOPを書いて何百冊売ったとか広告に推薦コメント