厚木市の幼稚園送迎ステーション「わたぐも」。市内に18ある幼稚園のうち9園と協定を結び、園児をバスで送迎している(写真/門間新弥)この記事の写真をすべて見る フルタイム共働きでも保育園に預けづらい。パートや求職中は絶望的。でも預け先がなければ働けない。就労と保育の「鶏か卵か」の問題解消に取り組む自治体がある。この街なら、働き方も預ける時間も選ぶことができる。(ライター・柳澤明郁/編集部・小林明子) 平日の午後6時、神奈川県厚木市。仕事を終えた中村恵さん(34)は、息子の迎えのために急いだ。5歳の息子は幼稚園に通っているが、中村さんが向かったのは本厚木駅前のショッピングセンター。その8階にある託児室「わたぐも」が、息子との「再会」場所だ。 「ママー!」 扉を開けると、息子の元気な声が迎えてくれた。 歯科衛生士として働く中村さんが利用するのは幼稚園送迎サービス。送迎拠点「わたぐも」に子どもを預